源氏物語評釈(読み)ゲンジモノガタリヒョウシャク

デジタル大辞泉 「源氏物語評釈」の意味・読み・例文・類語

げんじものがたりひょうしゃく〔ゲンジものがたりヒヤウシヤク〕【源氏物語評釈】

源氏物語注釈書。14巻13冊。萩原広道著。安政元年~文久元年(1854~61)刊。第8巻「花宴」までで中絶旧説検討を加え、独自の解釈を施したもの。

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精選版 日本国語大辞典 「源氏物語評釈」の意味・読み・例文・類語

げんじものがたりひょうしゃく‥ヒャウシャク【源氏物語評釈】

  1. 「源氏物語」の注釈書。一四巻一三冊。萩原広道著。嘉永七年(一八五四)、文久元年(一八六一)刊。第八帖「花宴」まで。本居宣長の「もののあはれ論」に賛成しながらも、安藤為明「紫家七論」の諷諭説にも評価を与える。二三種の旧注と七種の新注を博引し、主客伏線・照応・省筆等の文章論・構想論の法則を立てているが、それは曲亭馬琴の「稗史七法則」を参考にしたものである。俗語訳も付記して独自な解釈、注釈を施し、類書中の最高峰とされる。

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世界大百科事典(旧版)内の源氏物語評釈の言及

【源氏物語】より

…江戸時代に入ると,国学の勃興とともにいわゆる〈新注〉の時代となり,契沖の《源注拾遺》や賀茂真淵の《源氏物語新釈》がいずれも文献学的実証を志向し,ついで本居宣長の《源氏物語玉の小櫛》は,その総論に,物語の本質は〈もののあはれ〉すなわち純粋抒情にありとする画期的な論を立てて,中世の功利主義的物語観を脱却した。しかし宣長以後は幕藩体制下,儒教倫理による《源氏物語》誨淫(かいいん)説の横行によって,その研究もふるわず,わずかに萩原広道の《源氏物語評釈》の精密な読解が注目されるにすぎない。
[鑑賞・享受史と影響]
 読者の鑑賞享受はいうまでもなく作品成立とともに始まるわけで,日夜部屋にとじこもって耽読したという《更級日記》の作者が好例である。…

【萩原広道】より

…号は葭沼,出石居,鹿鳴草舎,蒜園など。その著は《源氏物語評釈》《本学提綱》《万葉集略解補遺》その他20種に及ぶが,なかでも《源氏物語評釈》14巻(1861)は緻密犀利な評論において先人未到の域に達したが,病のため惜しくも〈花宴〉巻までで中絶した。【今井 源衛】。…

※「源氏物語評釈」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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