日本大百科全書(ニッポニカ) 「瀾滄江」の意味・わかりやすい解説
瀾滄江
らんそうこう / ランツァンチヤン
中国南西部を流れる川で、インドシナ半島を流れるメコン川の上流。チベット自治区と青海省の境界を走るタングラ山脈に源を発し、扎曲(ザチュ)の名でよばれて南東流し、チベットに入ってのち瀾滄江とよばれる。東側の他念他翁(たねんたおう)山脈を挟んで怒江(どこう)と併流し、雲南省北西端から雲南省内に入り、さらに南流し、シーサンパンナ・タイ族自治州南端でラオス領内に入る。以下をメコン川という。全長は4425キロメートルであるが、中国領内は1800キロメートル。中国領内では深い縦谷を刻んで流れるため、狭い谷底平野以外の平地はみられず、水運の便もほとんどない。しかし包蔵水力は豊富で、雲南省内だけで3650万キロワットに達すると推定される。省内に15の水力発電所(出力2073万キロワット)を階段状に建設する計画がある。流域の住民はチベット族、タイ族、ラフ族、ハニ族などの少数民族が多い。
[青木千枝子・河野通博]