点推定（読み）てんすいてい（その他表記）point estimation

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

点推定
てんすいてい
point estimation

数理統計学における母数推定の一形式。区間推定に対する。標本から関数により決定されるある一つの数 θ (数直線上の点) をもって，θ の値であると言明する。この関数を推定量 estimator ，また指定されたその関数値を推定値 estimate という。点推定を得るのに最もよく使われる方法は，最小二乗法，最尤法である。点推定 θ は真の θ に (偶然以外は) 精確には符合せず誤差を生じる。しかし，平均的には符合して E(θ)＝θ なること (不偏性) は，最低限望ましいことである。その場合に，θ からの誤差の評価として，分散 E(θ－θ)² が最小になる (最小分散性) ことが，極力要請される。そのほか，有効性，一致性などの望ましい性質も要請されることが多い。

出典　ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

栄養・生化学辞典

点推定

　統計的な推定方法の一つで，母数を一つの点として指定する方法．

出典　朝倉書店

世界大百科事典（旧版）内の点推定の言及

【数理統計学】より

…はすでに見たとおり不偏推定量，とくに有効推定量であるが，VのほうはE(V)＝(n－1)σ²で不偏推定値にはなっていない。　これまでは，未知パラメーターθを推定するのに，候補となる1点を指示する点推定であったが，これとは異なり，パラメーターの存在しうる範囲を得られた標本から推定する区間推定の方法がある。標本X₁,X₂，……，X_nが得られたとき，θの動く範囲S(X)＝S(X₁,X₂，……，X_n)を適当に選んで，P(θ∈S(X))≧1－αとできるとき，S(X)を信頼係数1－αの信頼域という。…

【統計的推定】より

…他の規準，例えば，平均二乗誤差最小規準で推定量を比較することもいろいろ行われている。　以上述べてきた推定方式は未知パラメーターに対し，ただ一つの統計量を対応させる方式であって，点推定と呼ばれる。これに対し，標本から，ある定められた確率で未知パラメーターを含むような区間を構成する方式があり，区間推定と呼ばれる。…

【標本調査】より

…そこで，どのような値の標本平均がどのような割合で得られるのか(標本平均の分布)を見るために，表3のをその値ごとに整理してみると図1のようになる。この図から，母平均を1点で推定する(点推定という)とすれば，母平均μ＝5(万円)をぴったりいい当てられるのは36/252の割合にすぎないことがわかる。そこで推定値に幅をつけて，たとえば〈母平均は3.8～6.2万円〉という推定の仕方をするとすれば，はずれる場合の数は両端の12(＝3＋2＋1＋1＋2＋3)通りだけであるから，はずれる確率は12/252(＝0.048)に減少する。…

※「点推定」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典｜株式会社平凡社「世界大百科事典（旧版）」