無常講(読み)ムジョウコウ

デジタル大辞泉 「無常講」の意味・読み・例文・類語

むじょう‐こう〔ムジヤウ‐〕【無常講】

互いに掛け金を積んでおき、葬儀費用に充てる互助組織。
「よく聞けば死ぬるを急ぐ―」〈新増犬筑波集・上〉

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精選版 日本国語大辞典 「無常講」の意味・読み・例文・類語

むじょう‐こうムジャウ‥【無常講】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 仏語。人生の無常を縁として浄土往生を願って営む仏事
    1. [初出の実例]「道俗男女往生浄土のみちをもしらず、ただ世間浅近の无常講とかやのやうに諸人おもひなすこと、こころうべきことなり」(出典:改邪鈔(1337頃))
  3. 平生、互いに掛金を出しておき、講中死人があった場合に、それを葬儀の費用にあてるための講。
    1. [初出の実例]「いり度も有入たくもなし よくきけば死ぬるをいそぐ無常(ジャウ)かう」(出典:俳諧・新増犬筑波集(1643)油糟)

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世界大百科事典(旧版)内の無常講の言及

【葬式組】より

…村落社会における葬儀執行のための近隣組織。無常講(むじようこう),不幸組(ふこうぐみ)あるいは単に講中ということが多い。葬式組として独自の組織の存在する所もあるが,一般的には村組や近隣組が葬儀に際し葬式組となる。…

【無常】より

…日本ではこの教えから,人生は無常であるという無常観ができ,《平家物語》冒頭の〈祇園精舎の鐘の声,諸行無常の響あり〉は人口に膾炙(かいしや)している。これはインドの祇園精舎に重病人を収容する無常院があって,人の死にあたって鐘が打たれたことをあらわし,日本ではすべて人の死を無常事といい,葬送の相互扶助を目的に結ばれた講社を無常講,略して講組という。その発祥は平安時代中期の二十五三昧講にあり,祇園精舎無常院にならって往生院を建て,ここで病者を往生させ,死後の葬式と供養を行った。…

※「無常講」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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