焼準し(読み)やきならし(英語表記)normalizing

改訂新版 世界大百科事典 「焼準し」の意味・わかりやすい解説

焼準し (やきならし)
normalizing

鋼の熱処理一種。鋼をオーステナイトになる温度まで加熱して十分にオーステナイト化し,その後大気中で放冷(空冷)程度の速度で冷却して,層間隔の細かいパーライトを生成させる操作をいう。加熱-冷却の2回の相変態によってフェライトとパーライトの結晶粒が微細化し,高温に保たれるために合金元素分布が均一化する。その結果,強度,延性などが上昇し,鋼材の部分的あるいは方向による性質の差が少なくなる。この操作は,炭素含有量およそ0.5~0.9重量%の炭素鋼や,鋳造したままで塑性加工をせずに使われる鋼(鋳鋼)の熱処理として,とくに重要である。
パーライト
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