照井堰(読み)てるいぜき

日本歴史地名大系 「照井堰」の解説

照井堰
てるいぜき

磐井いわい川から取水し、現一関市・西磐井郡平泉町を灌漑する用水の総称。近世にはおのおの北照井堰・南照井堰・大江おおえ堰などとよばれた。伝承では藤原秀衡の家臣照井太郎高春(高直)が、骨寺ほねでらに来て秀衡の命により用水開削を計画、普請が始められたが工事途中で高春は没し、明応二年(一四九三)その子孫高安が萩荘庄司大江氏と計らい私費を投じて開削したという(宝暦一三年「西磐井大肝入大槻久右衛門書上」大槻文書)。当初の用水路は磐井川両岸に穴堰を開いたもので、北岸の堰から磐井川北岸を灌漑する北照井堰、南の堰から南岸を灌漑する南照井堰に分れていた。

寛永二〇年(一六四三)北照井穴堰が破損、かつ河流の変更などによって穴堰の使用が難しくなったため、仙台藩は穴堰を廃し、五串いつくし小河原こがわらに磐井川を斜めに止めて水を取入れる新堰を築いた。さらに五串村内杭丁くいちよう沢に大樋を設けて赤荻あこおぎ村内に導水、ここから山根やまね堰とみなみ堰に分水した。南堰は山目やまのめ大田貝おおたがいに定盤石を設けて関係各村の溜高に応じて間数を定め、水勢を配量して上・中・下の三流に分けた。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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