煮こごり(読み)にこごり

日本大百科全書(ニッポニカ) 「煮こごり」の意味・わかりやすい解説

煮こごり
にこごり

煮魚の汁が冷えてゼリー状に凝固したもの、あるいは、魚肉などを柔らかく煮て煮汁といっしょにゼラチン寒天で固めた料理。中国には古くから、ヒツジの背肉や内臓などを煮つめた羊糕(ヤンカオ)という料理がある。これは健康増進食の目的があり、2000年余の昔から用いていた記録がある。煮こごりは、魚の皮や骨にあるコラーゲンというタンパク質が煮汁に溶出してできたゼラチンのゼリーである。コラーゲンは水とともに加熱するとゼラチンに変化し、冷えると固まる性質がある。煮魚を冬など放置しておくと煮汁が固まるのはこのためである。

 煮こごりは魚の種類によりできやすいものと、できにくいものがある。カレイヒラメコチメゴチハゼなどは煮こごりができやすい。とり肉も同様である。ゼラチンや寒天を凝固の補助材料として使う煮こごり料理としては、スッポン、タイ、フグアナゴなどの煮こごりがある。これらは、調味して柔らかく煮た魚を身ごと固める。

河野友美

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android