メゴチ(読み)めごち

日本大百科全書(ニッポニカ) 「メゴチ」の意味・わかりやすい解説

メゴチ
めごち / 女鯒

日本各地の沿岸に分布し、砂泥質の海底に生息するいくつかのネズッポ科魚種の混称、またはコチ科の1種。

 和名メゴチSuggrundus meerdervoortiは、スズキ目コチ科に属する。青森県以南の日本海、茨城県以南の太平洋、黄海東シナ海、南シナ海に分布する。体に粗雑な細かい鱗(うろこ)があり、頭の背側面にある隆起線上に多数の小突起、眼下骨の隆起縁に6~8本の棘(とげ)、側線鱗(そくせんりん)の前の8~9枚に1本の後向棘(こうこうきょく)があるのが特徴。水深130メートル以浅の砂泥底にすみ、主としてエビ類、魚類などを食べる。産卵期は3~8月。全長20センチメートル余りになる。おもに底引網で漁獲される。和歌山、兵庫、広島の諸県では、コチ科のイネゴチCociella crocodilaをメゴチとよぶ。

 関東地方の釣り人がメゴチとよぶのは、スズキ目ネズッポ科に属する何種類かの小魚のことである。体に鱗がなく、皮膚が滑らかであり、鰓孔(さいこう)が円形で小さい。ネズミゴチRepomucenus curvicornisは、雄では第1背びれの周辺が黒く、雌では第1背びれの3本目と4本目の鰭条(きじょう)の膜に一黒色紋がある。トビヌメリR. beniteguriは、雄では第1背びれの前2本の鰭条が糸状に伸び、雌では第1背びれの各鰭条が短い。ハタタテヌメリR. valencienneiは、第1背びれや尾びれの鰭条が糸状に伸びるが、とくに雄で著しい。

落合 明・尼岡邦夫]


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改訂新版 世界大百科事典 「メゴチ」の意味・わかりやすい解説

メゴチ

カサゴ目コチ科の1種メゴチSuggrundus meerdervoortiを指す場合と,ウバウオ目ネズッポ科魚類の総称として用いられることがある。釣人の間で使われる場合は,ほとんど後者を指す。いずれも頭部上下から押しつぶされたような平らな形態をしており,外見上よく似ているが,コチ科のメゴチにはうろこがあるが,ネズッポ類にはないことで区別できる。いずれも沿岸の砂泥底にすみ,釣りなどにより漁獲され,食用とされる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「メゴチ」の意味・わかりやすい解説

メゴチ
Suggrundus meerdervoortii

カサゴ目コチ科の海水魚。全長 25cm内外。頭,体とも縦扁する。頭は比較的大きく,背面に多数の粒状のとげがある。鱗は櫛鱗で落ちにくく,前方部の側線の鱗に強い 1本のとげがある。前鰓蓋骨にも 3本のとげがある。体は褐色で,暗色横帯と小黒点がある。雄性先熟の性転換をする。本州中部以南,東シナ海,黄海の内湾から水深 100m内外の海底にすむ。

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栄養・生化学辞典 「メゴチ」の解説

メゴチ

 スズキ目ネズッポ科の海産魚の何種かをまとめた名称.食用にする.例えば,ネズミゴチ(Richardson dragonet)[Repomucenus richardsonii].

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百科事典マイペディア 「メゴチ」の意味・わかりやすい解説

メゴチ

コチ科の魚。体長21cm。東京と新潟以南の南日本に分布し,練製品の原料にされる。なおネズッポ科の魚の総称として使われることもある。

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世界大百科事典(旧版)内のメゴチの言及

【コチ(鯒)】より

…分類上はスズキ目に入るネズッポやネズミゴチなどもコチと称せられることがある。また,関東地方ではネズッポのことをメゴチと呼ぶが,コチ科のメゴチとは別種である。コチPlatycephalus indicus(イラスト)は日本中部以南の太平洋~インド洋海域に広く分布し,沿岸から水深200m前後の砂泥地にすむ。…

【ネズッポ】より

…ネズッポCallionymus lunatus(イラスト)は日本各地の沿岸でごくふつうに見られる小型魚で,全長20cmくらい。鹿児島でゴツババ,シックイ,高知,大阪でノドクサリ,福岡でメゴチ,小名浜でニガジロと呼ばれるなど,地方名も多い。別名のヌメリゴチ,浜名湖でのネバリゴチ,富山県新湊のベトゴチなどの名称は,皮膚から多量の粘液を出しぬるぬるすることによる。…

※「メゴチ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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