燕雀いずくんぞ鴻鵠の志を知らんや(読み)えんじゃくいずくんぞこうこくのこころざしをしらんや

故事成語を知る辞典の解説

燕雀いずくんぞ鴻鵠の志を知らんや

小人物は大人物の考えを理解することができないことのたとえ。

[使用例] 「少し飛び離れた事を云うと、すぐ冗談にしてしまう」「燕雀いずくんぞたいほうの志を知らんやですね」[夏目漱石吾輩は猫である|1905~06]

[使用例] くだらぬことを問うものかな。燕雀なんぞ鴻鵠の志を知らんやだ[吉川英治*三国志|1939~43]

[由来] 「史記ちんしょうせい」に出てくる、陳渉という人物の名言。陳渉(正式な名はちんしょう)は、紀元前三世紀の終わりごろ、しん王朝の時代の人で、若いころ、人に雇われて働いていました。あるとき、彼は、雇い主に向かって、「出世しても、お互いのことを忘れないでいましょう」と言いましたが、雇い主は、笑って取り合いません。そこで陳渉は、「燕雀いずくんぞ鴻鵠の志を知らんや(ツバメスズメのような小さな鳥には、オオハクチョウコウノトリのような大きな鳥の気持ちはわからない)」と言ってため息をついた、ということです。後に陳渉は、秦の圧政に対して反乱を起こし、時代を変える引き金を引いた人物として、歴史に名を残すことになりました。

[解説] ❶スケールの大きな話をまったく受け付けない、ちっぽけな人物はどこにでもいます。そういう人に言い放ってみたいと同時に、自分に対する戒めともしたいことばです。❷「荘子しょうようゆう」から生まれた、「大鵬の志と混同されて、「燕雀いずくんぞ大鵬の志を知らんや」というふうに使われることもあります。❸陳渉は、後に秦王朝に対する反乱を起こしたときにも、「王侯将相いずくんぞ種あらんやという名言を残しています。

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