王侯将相いずくんぞ種あらんや(読み)おうこうしょうしょういずくんぞしゅあらんや

故事成語を知る辞典 の解説

王侯将相いずくんぞ種あらんや

人間地位は生まれながらのものではなく、能力によって手に入れるべきものだ、ということ。

[使用例] 王侯将相あに種あらんやというは、それは歴史上をならして、幾千億万分の一の特例であって[中里介山*大菩薩峠|1913~41]

[使用例] 王侯将相いずくんぞ種あらんや、そこには一切の紫衣美飾をがれたありのままの人間が[中野好夫*近代文学の運命|1947]

[由来] 「史記ちんしょう世家」に出てくる、陳渉という人物の名言。紀元前三世紀の終わり、中国を統一したしん王朝は、国境警備や大規模な建築事業に人々を駆り立てました。前二〇九年、遠く離れた北方の警備を命じられた陳渉とこうは、大雨のため、期日までに現場に到着できなくなってしまいます。秦の法律では、期日に遅れたものは、理由を問わず死刑。二人は、どうせ死ぬのならば大きなことをしでかしてやろうと考え、仲間たちに決起を促しました。そのときのセリフが、「王侯将相、いずくんぞ種有らんや(王や侯爵将軍、大臣になるのに、家柄なんて関係あるもんか)」。今、立ち上がれば自分たちだって王や貴族になれると鼓舞したのでした。やがて、彼らに続いて各地反乱が起こり、秦王朝は滅亡することになります。

[解説] ❶人間は、生まれた家柄によってではなく、本人才能努力によって評価されるべきだ、という考えは、驚くほど現代的で、二二〇〇年も前に発せられたことばとは思えないほど。逆に言えば、家柄による差別はいまだになくなっていないということでしょう。❷陳渉の名言としては、「燕雀いずくんぞ鴻鵠の志を知らんやも有名です。

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旺文社世界史事典 三訂版 の解説

王侯将相いずくんぞ種あらんや
おうこうしょうしょういずくんぞしゅあらんや

秦の二世皇帝の元年(前209年),陳勝 (ちんしよう) ・呉広 (ごこう) が反乱を起こす際に部下に言った言葉
乱世では王侯・将相といえども,家系によるのでなく,器量しだい,運しだいでなれるという意。実力主義の風潮をあらわした言葉。

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とっさの日本語便利帳 の解説

王侯将相いずくんぞ種あらんや

王や諸侯、将軍や宰相となるのに、決まった種(家柄)なんかありはしないのだ。秦を倒すために立ち上がった農民の首領、陳勝のことば。

出典 (株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」とっさの日本語便利帳について 情報

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