牛山ホテル(読み)ウシヤマホテル

デジタル大辞泉 「牛山ホテル」の意味・読み・例文・類語

うしやまホテル【牛山ホテル】

岸田国士戯曲。昭和4年(1929)、「中央公論」誌に発表。昭和7年(1932)初演仏領インドシナホテル舞台とする人間ドラマ。

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精選版 日本国語大辞典 「牛山ホテル」の意味・読み・例文・類語

うしやまホテル【牛山ホテル】

戯曲。岸田国士作。昭和四年(一九二九)発表。同七年初演。仏領インドシナの日本人ホテルを舞台に海外放浪者の哀歓を描く。

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改訂新版 世界大百科事典 「牛山ホテル」の意味・わかりやすい解説

牛山ホテル (うしやまホテル)

岸田国士(きしだくにお)の戯曲。5場。1929年(昭和4)1月《中央公論》に発表。32年6月,日比谷の飛行館で初演。舞台は仏領インドシナのある港の日本人経営の牛山ホテル。S商会出張所主任の真壁が店に大穴をあけてこの町を去るにあたり,落籍し同棲していた娼妓藤木さとを天草故郷に帰してやることを決めたものの,それが彼女の幸せかどうか思い悩んでいる。その解決もつかぬうち,離婚訴訟中の妻のロオラに真壁はピストルで撃たれて負傷する。さとは真壁と話しあうこともできぬまま,天草に帰るためホテルを出ていく。天草弁をふんだんに使ったこの戯曲は,日本を離れ世界を放浪する自由人にとって祖国とは何かという問いを設定することで,まったく新しい視角から日本および日本人の本質をとらえようとした,特異な作品といえよう。
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