物仕(読み)モノシ

デジタル大辞泉 「物仕」の意味・読み・例文・類語

もの‐し【物仕/物師】

物事をよく心得てする人。また、世事になれた人。巧者
「いみじき―ぞ、まろは」〈落窪・一〉
裁縫で仕える女の奉公人。おものし。
腰元、中居女、―を添へて」〈浮・胸算用・二〉

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精選版 日本国語大辞典 「物仕」の意味・読み・例文・類語

もの‐し【物仕・物師】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 物事をするのが上手な者。
    1. (イ) 特に、染色・縫製などの工芸の専門家。職人。
      1. [初出の実例]「なほひかへさせ給へ、いみじき物しぞ、まろは」(出典:落窪物語(10C後)一)
    2. (ロ) 縫物で仕える女の奉公人。お物師。〔評判記・色道大鏡(1678)〕
  3. 世事になれた人。老練な人。巧者。やりて。
    1. [初出の実例]「さすがにきゃつ共も物仕(モノシ)でござる」(出典:雲形本狂言・空腕(室町末‐近世初))
  4. 太鼓持ち。
    1. [初出の実例]「はしがかりへにょっと出た所が、なにさまものしのやうに見ゆる」(出典:評判記・野郎にぎりこぶし(1696)三)
  5. ( 「いかものし(如何物師)」の略かともいう ) 詐欺師(さぎし)。いかさま師。
    1. [初出の実例]「とう丸にのるべいはさとものしいひ」(出典:雑俳・柳多留‐九(1774))

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