日本大百科全書(ニッポニカ) 「特定保守管理医療機器」の意味・わかりやすい解説
特定保守管理医療機器
とくていほしゅかんりいりょうきき
医薬品医療機器等法(改正薬事法)による医療機器のクラス分類にかかわらず、長期に及んで使用され、保守点検や修理および管理に専門的な知識と技能を必要とする医療機器。保守管理が適切に行われなければ重大な不具合や感染などが生じるおそれがある医療機器を、厚生労働大臣が指定するものである。
医療機器のクラス分類とは、2002年(平成14)の薬事法改正(ここで従前の医療用具を医療機器と改称)において、人体に及ぼすリスクの程度に応じて必要な安全策を講じる目的で、高度管理医療機器(クラスⅢ、Ⅳ。不具合が生じれば生命の危険や健康へ影響を及ぼすリスクが高い)、管理医療機器(クラスⅡ。不具合が生じても人体へのリスクが比較的少ない)、一般医療機器(クラスⅠ。不具合が生じても人体へのリスクがきわめて少ない)の三つに分けられたことで、それぞれ承認や販売に関する規定が設けられた。
医薬品医療機器等法によるⅠ~Ⅳのクラス分類にかかわらず、保管や修理などに専門的な知識と技術を要する医療機器は特定保守管理医療機器として指定されることになった。植え込み型補助人工心臓、麻酔深度モニター、無呼吸モニター、汎用(はんよう)輸液ポンプ、インスリン用輸液ポンプ、医薬品注入コントローラー、体外型心臓ペースメーカー、除細動器、透析装置、血液浄化装置、肺人工蘇生(そせい)器、汎用人工呼吸器、そのほか各診療科別の診断装置や治療装置など1000機器あまりが指定されている。
このほか設置にあたって組立てを要し、保健衛生上の危害発生を防ぐ目的で設置に管理を必要とする医療機器を設置管理医療機器とよび、これも厚生労働大臣によって指定される。
[編集部 2016年9月16日]