日本大百科全書(ニッポニカ) 「特用樹種」の意味・わかりやすい解説
特用樹種
とくようじゅしゅ
林業で一般用材や薪炭用材に利用される普通の樹種に対して、果実や樹皮、小枝、葉、樹液などの特殊部分や特有成分を利用するものを特用樹種とよぶ。利用の方法は時代により変遷するので、特用樹種の内容も変化している。材を利用する樹種でもキリやタケなどのように工芸的な特殊用途に用いられるものは特用樹種に含められる。わが国でのおもな特用樹種を利用法と関係させて次にあげる。〔1〕果実を利用するもの 食用―クリ、クルミ、ヤマモモ、オリーブ、油脂・ろう用―アブラギリ、ハゼ、ナンキンハゼ、ツバキ、サザンカ。〔2〕樹皮を利用するもの 和紙・繊維用―コウゾ、ミツマタ、ガンピ、シュロ、薬用―キハダ、染料用―シャリンバイ。〔3〕葉や小枝を利用するもの 精油用―クス、クロモジ、神仏への供物用―サカキ、シキミ。〔4〕樹液を利用するもの ウルシ。〔5〕材を利用するもの キリ、タケ、イヌエンジュ、ミズキ。
[蜂屋欣二]