狼と七匹の子山羊(読み)オオカミトシチヒキノコヤギ

デジタル大辞泉 「狼と七匹の子山羊」の意味・読み・例文・類語

おおかみとしちひきのこやぎ〔おほかみとシチヒキのこやぎ〕【狼と七匹の子山羊】

原題、〈ドイツDer Wolf und die sieben jungen Geißleinグリム童話に収録された話の一。オオカミが母ヤギのふりをして戸を開けさせ、留守番中の子ヤギたちを食べてしまうが、帰ってきた母ヤギは眠っているオオカミの腹をはさみで切り、子ヤギたちを助け出す。

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改訂新版 世界大百科事典 「狼と七匹の子山羊」の意味・わかりやすい解説

狼と七匹の子山羊 (おおかみとななひきのこやぎ)

これは《グリム童話》第5番の題名であるが,これと同じタイプの昔話は,中欧,東欧,ロシア,フィンランド,そしてアイルランドなどに分布している。母山羊の留守に狼が来て,母を装って戸を開けさせようとする。子山羊たちは声と足がちがうというが,チョークの粉で声をなおし,白い粉で足を白くした狼にだまされて戸を開ける。狼は末っ子を除いた六匹を食べる。帰宅した母山羊は末っ子からわけを聞き,草原で眠っている狼の腹を切開し,子山羊を救出して腹の中に石を入れておく。目ざめた狼は井戸で水を飲もうとして,腹の石のために中へ落ちて死ぬ。一度は狼に食べられた子山羊が生きて現れるのは,〈赤ずきん〉と同様,シャマニズムの通過儀礼にみられる〈死と再生〉のかすかななごりと考えられる。親の留守に子どもが悪者によって殺され,戻ってきた親によって救出されるという骨組みにしてみれば,日本の昔話〈瓜子姫〉も同じ構造をもつことがわかる。
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