赤ずきん(読み)あかずきん

改訂新版 世界大百科事典 「赤ずきん」の意味・わかりやすい解説

赤ずきん (あかずきん)

ヨーロッパ口伝え昔話で,フランスC.ペローが〈童話集〉に再話して収めたもの。赤ずきんと呼ばれる娘が母の言いつけで祖母に菓子を持って行く途中,狼に出会う。祖母のところへ行くのだと娘が言うと,狼は先回りして祖母を食べて殺し,祖母になりすます。道草を食っておそく着いた赤ずきんもその狼に食べられる。

 ペローの話はここで終わるが,ドイツの《グリム童話》では,このあと,通りかかった狩人が,眠っている狼の腹を切開し,祖母と赤ずきんを救出する。赤ずきんが狼の腹の中へ大きな石を入れておくと,目をさました狼は,腹が重くて倒れて死ぬ。腹の中の石で死ぬモティーフは,《グリム童話》5番〈狼と七匹の子山羊〉の結末にもみられる。

 〈赤ずきん〉も〈七匹の子山羊〉も,いったん狼に食べられて,あとで救出されるのだが,この部分は,シャマニズム通過儀礼としての〈死と再生〉がかすかななごりをとどめるモティーフと考えられる。フランスの最近の研究では〈赤ずきん〉というのはペローの命名とされている。しかしドイツでは,ヘッセン州シュワルム地方に,未婚女性が赤い小さな帽子をかぶる習俗があるところから,この名はその帽子に由来すると説明されている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「赤ずきん」の意味・わかりやすい解説

赤ずきん
あかずきん
Le petit chaperon rouge フランス語
Rotkäppchen ドイツ語

フランスの民話をペローが再話して、『がちょうおばさんの話』(1697)に収めたのでよく知られている。おばあさんからもらった、きれいな赤ずきんをかぶった娘が、おばあさんを訪ねて行く途中、オオカミに出会う。オオカミは先におばあさんの家へ行って、おばあさんを食べ、そのベッドに入って、おばあさんになりすまして娘の到着を待ち、娘を食べてしまう。『グリム童話集』(第26番)では、このあと、猟師がオオカミの腹を切り開くと、娘とおばあさんが無事に出てきて、3人でオオカミの腹に石を詰め込み、オオカミは石の重みで死んでしまう、というすじになっている。

[小澤俊夫]

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百科事典マイペディア 「赤ずきん」の意味・わかりやすい解説

赤ずきん【あかずきん】

ヨーロッパに広く伝わる昔話で,フランスのC.ペローが〈童話集〉に収録。《グリム童話》によって広く知られる。祖母や母に化けた狼が少女をだまして食うが,少女は狼の腹中から救い出される。グリムの〈狼と七匹の子山羊〉も同系統。類似の話は日本にも見られる。
→関連項目グリム童話

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