猪熊村(読み)いのくまむら

日本歴史地名大系 「猪熊村」の解説

猪熊村
いのくまむら

[現在地名]水巻町猪熊一―一〇丁目

現町域の北端部、遠賀川河口に近い右岸の沖積平野に位置する。村の東端を遠賀川の分流であるまがり川が流れる。同川は当村の北端部で川に合流して再び遠賀川に注いでおり、当地は遠賀川と曲川に挟まれた中洲のようであった。遠賀川・曲川・江川の三河川が交わる辺りはがしらとよばれる(「続風土記」など)。曲川を隔てて東は浅川あさかわ(現北九州市八幡西区)南東古賀こが村など、西は遠賀川を隔てて島津しまづ(現遠賀町)。集落は本村のほかに向村むかえむら後村うしろむら大下おおしもがあり(続風土記拾遺)、「地理全誌」では三町門さんちようもん・中ノ山・大江おおえもみえる。井熊(続風土記)、猪隈(続風土記拾遺)とも記し、天文一〇年(一五四一)六月一一日に書写された文明八年(一四七六)の状況を示す春日神社(現八幡西区)の祭礼帳法度之次第(波多野家文書)に「有毛郷 井隈」とみえる。慶長(一五九六―一六一五)頃までは島津村に属していたが(続風土記拾遺)、慶長四年山鹿やまが(現芦屋町)から大貝八郎右衛門が来て開き立て、正保四年(一六四七)から庄屋役を立てたといわれる(岡郡宗社志)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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