日本歴史地名大系 「猪甘津」の解説 猪甘津いかいのつ 大阪府:大阪市生野区猪飼野村猪甘津「日本書紀」仁徳天皇一四年一一月条に「猪甘津(いかひのつ)に橋為(わた)す、即ち其の処を号けて小橋と曰ふ」とみえる。この猪甘津は近世の猪飼野(いかいの)村一帯にあたるといわれ、「摂陽群談」は同村について「或は猪飼津とも云り」と記す。玉造(たまつくり)江の一部であったため津とよばれたという。土地条件図によると、現在の平野川と国鉄大阪環状線の間に幅約四五〇メートルほどの開析谷が確認される。この谷には古く猫間(ねこま)川や平野川が集まり、上町台地東側に江湾を形成していたと思われる。「日本書紀」にみえる「小橋」については、猪飼野の天神宮南方の平野川に架かっていた鶴(つる)の橋がこれにあたるとも伝え、橋の辺りに鶴が多く集まることがあり、橋名が生じたという(摂陽群談など)。 出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報 Sponserd by