いの(読み)イノ

デジタル大辞泉 「いの」の意味・読み・例文・類語

い‐の[終助]

[終助]終助詞「い」+終助詞「の」から。近世語体言動詞助動詞命令形感動詞接続詞、助詞に付く。感動・呼びかけの意を表す。…ねえ。
先度の文にも言ふ通り、竜田の藤がこと―」〈浄・淀鯉

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精選版 日本国語大辞典 「いの」の意味・読み・例文・類語

い‐の

  1. ( 終助詞「い」に終助詞「の」が付いたもの ) 文末に用いて、感動や呼びかけ、強調を表わす。「いのう」の形でも使われる。
    1. [初出の実例]「さればいの」(出典:狂言記・伯母が酒(1660))

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「いの」の意味・わかりやすい解説

いの(町)
いの

高知県中央部、吾川(あがわ)郡にある町。2004年(平成16)吾川郡伊野町(いのちょう)、吾北村(ごほくそん)と土佐(とさ)郡の本川村(ほんがわむら)が合併して成立。北は愛媛県と接する。北部は吉野川源流域を占め、瓶ヶ森(かめがもり)(1897メートル)一帯は石鎚(いしづち)国定公園に含まれる。中・南部は西側を仁淀(によど)川が支流を集めながらほぼ東南流する。JR土讃(どさん)線、とさでん交通伊野線、国道33号(松山街道)、194号、439号が通じ、高知自動車道の伊野インターチェンジがある。1999年(平成11)に瓶ヶ森の東方、愛媛県境の寒風(かんぷう)山(1763メートル)南側に国道194号の寒風山トンネル(全長約5400メートル)が開通した。

 北部の吉野川流域の鷹ノ巣山遺跡は弥生中期の岩陰遺跡で、標高1150メートルという高所にある。南部の仁淀川東岸では、バーガ森北西麓(ろく)に縄文後期の奥名(おくな)遺跡があり、北斜面には弥生中期の高地性集落がある。天神溝田遺跡では銅剣・銅戈(どうか)が発見されている。岩滝ノ鼻遺跡からは古墳時代の鉄斧、新田遺跡からは丸木舟が検出された。古墳時代後期の枝川古墳群もある。中世、中央部の仁淀川北岸には上八川(かみやかわ)を中心に吾川山(あがわやま)荘が成立、15世紀には吸江(ぎゅうこう)庵(高知市)領となる。北部は本川五党と称された土豪が割拠し、南部の波川(はかわ)には戦国末期に波川玄蕃(げんば)の拠る小研城(ことぎじょう)があった。江戸時代は仁淀川支流山間地の成山(なるやま)で土佐藩御用紙の七色紙が生産された。仁淀川に沿う伊野も土佐和紙の中心的生産地の一つで、上流山村で栽培されたコウゾ(楮)や紙などの商いも盛んとなり在郷町が成立した。野中兼山(けんざん)によって弘岡井筋が開かれて以降、仁淀川上流域の物資が伊野町の河湊で荷揚げされ、松山街道で高知城下に運ばれた。

 近代も工場製紙が発達、現在は手漉(す)き工場もあるが、さまざまな用途の紙を製造する機械漉き工場が中心である。このほかの産業はスギ・ヒノキの用材生産、米作のほかカンショ・バレイショ、ユズ、イチゴ、コウゾなどの栽培、肉用牛の飼育など。土佐和紙は国の伝統的工芸品に指定されており、近代に導入された土佐典具帖紙(とさてんぐじょうし)の手漉き和紙製造技術は国の選択無形文化財。本川神楽(かぐら)は国指定重要無形民俗文化財である土佐の神楽の一つ。椙本神社(すぎもとじんじゃ)の八角形漆塗神輿(はっかくがたうるしぬりしんよ)は国指定重要文化財。八代八幡宮(やしろはちまんぐう)の農村歌舞伎舞台(八代の舞台)は国の重要有形民俗文化財。吉野川最上流部にある山間民家の山中家住宅は国指定重要文化財。紙の博物館、県立紙産業技術センターがある。面積470.97平方キロメートル、人口2万1374(2020)。

[編集部]


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改訂新版 世界大百科事典 「いの」の意味・わかりやすい解説

いの[町]

高知県中央部の吾川(あがわ)郡の町。2004年10月伊野(いの)町と吾北(ごほく)村,本川(ほんがわ)村が合体して成立した。人口2万5062(2010)。

いの町南部の旧町。吾川郡所属。人口2万4612(2000)。仁淀川中流東岸に位置し,高知市の西に接する。中心の伊野は,江戸時代に土佐紙発祥の地といわれる成山とともに,土佐藩の御用紙製造地として保護されて発展した。町の産業は製紙業を主とし,印刷業や,仁淀川水系を利用した製材業が行われる。農業は東・南部に広がる平地での施設園芸や果樹の栽培が盛んで,特にショウガの産地として知られる。中心部をJR土讃線,国道33号,194号線が走り,近年は高知市のベッドタウンとして住宅地化が進んでいる。高知自動車道のインターチェンジがある。

いの町中部の旧村。吾川郡所属。人口3358(2000)。仁淀川支流の上八川川流域に位置する。村のほぼ全域を山林が占める,典型的な山村で,南部を西流する上八川川とその支流に沿ってわずかに耕地が開け,集落が点在する。古くから南の製紙業地伊野への製紙原料の供給地としてミツマタ,コウゾを盛んに生産し,大正期までは舟で運んでいた。現在は林業のほか,米作,養蚕,畜産などが行われ,コンニャク,茶,スイカなどの栽培も加わる。近年は出稼ぎなどによる労働力の流出が著しい。

いの町北部の旧村。旧土佐郡所属。人口759(2000)。吉野川源流域に位置し,北部には石鎚山脈の筒上山(1859m),瓶ヶ森(かめがもり)(1896m),寒風山(1763m),笹ヶ峰(1859m)などがそびえ,愛媛県と境する。かつて当村から東隣の大川村を含む一帯は本川郷とよばれ,周囲から隔絶した山間地で,中世には〈本川五党〉と称する5人の土豪がいた。寺川は石鎚山への登山口だが,江戸中期,同地に駐在した土佐藩山廻役春木氏の記した《寺川郷談》は,焼畑や狩猟など当時の生活や習慣をよく物語る。村域西部の手箱山(1806m)には近世初期の氷室跡がある。林業が主で,杉,ヒノキの木材やシイタケ,ワサビなどを産する。東部を国道194号線が通り,寒風山トンネルを抜けて愛媛県西条市に通じる。北部は石鎚国定公園に含まれ,越裏門(えりもん)の山中家住宅は重要文化財。村内の氏神社の秋祭に奉納される本川神楽は重要無形民俗文化財〈土佐の神楽〉の一つ。
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百科事典マイペディア 「いの」の意味・わかりやすい解説

いの[町]【いの】

高知県中央部に位置する吾川郡の町。町南部を高知市に接する。2004年10月吾川郡伊野町,吾北村,土佐郡本川村が合併し町制。JR土讃線,高知自動車道,国道33号線が通じる。470.97km2。2万5062人(2010)。

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世界大百科事典(旧版)内のいのの言及

【ディオニュソス】より

…ゼウスに愛されて子を宿したセメレは,これを嫉妬(しつと)したゼウスの妃ヘラに欺かれ,雷電をもつゼウスに神本来の姿で訪れるよう願ったため,その雷にうたれて焼け死んだが,ゼウスは彼女の胎内から嬰児(えいじ)を取り出し,みずからの腿(もも)に縫い込んで月満ちるのを待った。こうして誕生したディオニュソスは,まずカドモスの娘イノInōに託された。しかしヘラがイノを狂わせたので,ゼウスは彼をひそかにニュサ(所在不明の神話上の地名)まで運ばせ,その地のニンフたちに養育させた。…

【テーベ伝説】より

…彼とハルモニアHarmoniaとの結婚式は,すべての神々が臨席し祝福した盛大なものとされるが,その娘たちには不幸な最期を遂げたものが多い。ゼウスの雷霆(らいてい)にうたれて死につつもディオニュソスを生んだセメレSemelē,わが子ペンテウスを八つ裂きにするアガウエAgauē(エウリピデスの悲劇《バッコスの信女》を参照),海にわが身を投じて果てたイノInōなどである。なおテーベのアクロポリスは,カドモスにちなんでカドメイアKadmeiaと呼ばれたが,ここからは近年バビロニアの円筒印章が出土し,東方との交流のあったことを裏づけている。…

※「いの」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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