玉鉾の(読み)タマボコノ

デジタル大辞泉 「玉鉾の」の意味・読み・例文・類語

たまぼこ‐の【玉×鉾の】

[枕]「道」「里」にかかる。語義・かかり方未詳。
「―道行き暮らし」〈・七九〉
「―里人皆にれ恋ひめやも」〈・二五九八〉

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精選版 日本国語大辞典 「玉鉾の」の意味・読み・例文・類語

たまぼこ‐の【玉鉾の】

  1. ( 「たまほこの」とも )
  2. 「道」にかかる。語義、かかり方未詳。
    1. [初出の実例]「よろづたび 顧みしつつ 玉桙乃(たまほこノ) 道行き暮らし 青によし 奈良の都の 佐保川に い行き至りて」(出典:万葉集(8C後)一・七九)
  3. 「里」にかかる。「道」にかかる用法から転じたものか。
    1. [初出の実例]「遠くあれど君にそ恋ふる玉桙乃(たまほこノ)里人皆に吾恋ひめやも」(出典:万葉集(8C後)一一・二五九八)
  4. 近世には、「足」にかけたかと思われる例もある。これらの例は、「たまぼこ」を、道、道中の意の名詞として用いたものと考えることもできる。
    1. [初出の実例]「是より末は玉鉾(タマボコ)の、足元もほこりに埋めば」(出典:浮世草子・好色二代男(1684)二)

玉鉾のの補助注記

( 1 )「たまぼこ」の語義については、「万葉集」をはじめ、多くの漢字表記がいずれも「玉桙」またはこれと同義の文字であるところから、これを原義として桙の意とする説が多い。
( 2 )なぜ「道」にかかるかについては諸説がある。古くは「桙の身」の意で、「道」が同音ミを含むからという説が有力だったが、「み(身)」は上代特殊仮名遣で乙類、「道」の「み」は甲類であるから疑問ほかに、「霊(ち)」の意などで「道」の「ち」に続くという説、桙のように真直ぐな道、道しるべとしての桙、など。また、分かれ道や集落の出入口の道のかたわらにある道祖神庚申塚前身としての陽石を立てる習俗と関係があるのではないかという説もある。

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