日本大百科全書(ニッポニカ) 「王叔和」の意味・わかりやすい解説
王叔和
おうしゅくか
3世紀ごろの中国(後漢(ごかん)末~西晋(せいしん)初め)の医家。正史に伝記がなく、生没年については180―270年、210―285年などの説があり、確実なことは不明。診脈を中心とする診断学の元祖とされる。晋の太医令であって『脈経(みゃくけい)』(10巻)の撰者(せんじゃ)として知られる。唯一の記録として、高湛(こうたん)の『養生論』(『太平御覧(たいへいぎょらん)』所収)に「王叔和は性質が沈静であって、著述を好み、遺文を考覈(こうかく)して群論を採摭(さいせき)し脈経十巻を撰成し、張仲景(ちょうちゅうけい)の方論を編次して三十六巻と為(な)した。大いに世に行われた」とある。
[山本徳子]
『岡西為人著『中国医書本草考』(1974・南大阪印刷センター)』