太平御覧(読み)タイヘイギョラン(その他表記)Tài píng yù lǎn

デジタル大辞泉 「太平御覧」の意味・読み・例文・類語

たいへいぎょらん【太平御覧】

中国宋代の類書。1000巻。太宗の命で李昉りぼうらが編集。983年(太平興国8年)成立。55門に分かれ、現在伝わらない書を含め1690種の文献を引用し、項目別に分類したもの。

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精選版 日本国語大辞典 「太平御覧」の意味・読み・例文・類語

たいへいぎょらん【太平御覧】

  1. 中国の類書。一〇〇〇巻。宋の太宗の時、李昉(りぼう)奉勅撰。太平興国二年(九七七着手、同八年完成。初名、太平総類。先行の類書などから集めた引用書一六九〇種を五五部門に分類。引用書には今伝わらない書を多く含む。御覧

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改訂新版 世界大百科事典 「太平御覧」の意味・わかりやすい解説

太平御覧 (たいへいぎょらん)
Tài píng yù lǎn

中国,宋初の977年(太平興国2),太宗の勅命をうけて李昉(りぼう)らが編纂した一大類書。1000巻。6年9ヵ月の歳月をかけて,984年に完成した。《易》繫辞の〈凡そ天地の数,五十有五〉にもとづいて,全体を天,時序,地,皇王,偏覇,州郡など55門に分け,あらゆる事類を網羅することを示した。各門はさらに類に分け,すべてで4558類になる。引用書は1660種にのぼり,その7,8割まで現在では失われたものであり,資料宝庫として,学問上きわめて重要な書物とされる。もっとも引用書のすべてが宋初に存在していたわけではなく,前代につくられた《修文殿御覧》《芸文類聚》《文思博要》などの類書から転引したものも多い。また書名標記が不統一であったり,書名を誤っている場合もあるので,利用するときには注意を要する。宋初には,本書のほか,《太平広記》《文苑英華》《冊府元亀》が編纂され,あわせて宋四大書という。
類書
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「太平御覧」の意味・わかりやすい解説

太平御覧
たいへいぎょらん

中国の類書(一種百科事典)。北宋(ほくそう)、李昉(りほう)らが勅を奉じて977年編集に着手、983年に完成。1000巻。天子の御覧に供したことから『太平御覧』と名づけられた。天、地、皇王、州郡、封建、職官、礼、楽、道、釈から四夷(しい)、疾病、妖異(ようい)、動植物に及ぶまで、55部門、5000項目を列挙する。10世紀の代表的な類書の内容をもち、当時の世界観をうかがうことができる。引用文献は1690種に及び、今日亡失して伝わらない書も多く、史料的価値は大きい。宋版の一部は日本の静嘉堂(せいかどう)文庫、金沢(かねさわ)文庫などに所蔵されている。日本でも1855年(安政2)、宋版をもとに出版されている。

[柳田節子]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「太平御覧」の意味・わかりやすい解説

太平御覧
たいへいぎょらん
Tai-ping yu-lan

中国,宋の類書。李 昉 (りぼう) ら 13人の編。 1000巻。太平興国8 (983) 年成立。太祖の勅命により6年を費やして成った宋代の代表的類書。天,時序,地,皇王に始る 55部門に分類され,各部門がさらに小項目に分けられ,各項目に関連する事項が古典から抜粋,収録されている一種の百科全書。引用された書は 1689種にのぼり,なかには当時すでに原書が失われていて,『芸文類聚』など前代の類書から間接的に集録した書もあるが,現在,本書によってその片鱗をうかがうことができる書が多く,貴重な資料となっている。

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百科事典マイペディア 「太平御覧」の意味・わかりやすい解説

太平御覧【たいへいぎょらん】

中国,宋代の類書。1000巻。李【ぼう】(りぼう)〔925-996〕らが勅を奉じて編。984年完成。天・時序・地など55部門に分類,おのおの古典にみえる関係事項を収録。引用書は1660種にのぼり,多くの逸書を包蔵するので貴重な資料。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「太平御覧」の解説

『太平御覧』(たいへいぎょらん)

宋代の類書(百科事典)。1000巻。李昉(りぼう)らが勅によって編集し1083年完成。それまでの類書では最大のもので,55部門に分け,引用書1690種のなかには今日亡失したものが多い。

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旺文社世界史事典 三訂版 「太平御覧」の解説

太平御覧
たいへいぎょらん

宋の太宗の命で李昉 (りぼう) らが編集した事項別百科事典
983年ごろ完成。1000巻。六朝 (りくちよう) から唐までの百科事典を集大成。

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世界大百科事典(旧版)内の太平御覧の言及

【工芸】より


[中国――工芸と巧]
 〈工芸〉はもともと中国の言葉で,その文献上の初出は,現在知られているところでは,《旧唐書(くとうじよ)》閻立徳伝(えんりつとくでん)である。宋代の百科事典,《太平御覧(たいへいぎよらん)》の工芸の部によると,それは射(弓を射ること),御(馬を御すこと),書,数(算数),画,巧,そして囲碁などの勝負を争う各種遊戯,これらにかかわる広い範囲での技能のことであった。ただし,このうち抽象的な言語である巧は,今日いうところの工芸技術をも含む,工作に関する技能を意味していた。…

【自然誌】より

… 中国では3世紀に魏の文帝の命で繆襲(びゆうしゆう)らが《皇覧》(120巻,《隋書》経籍志による)を編纂したのをはじめとして,いわゆる〈類書〉が編纂されるようになった。著名なものとしては宋の李昉(りぼう)らが勅命で編纂した《太平御覧(たいへいぎよらん)》や王欽若(おうきんじやく)が編集した《冊府元亀(さつぷげんき)》,明の王圻(おうき)が親子2代で撰した《三才図会(さんさいずえ)》がある。いずれも天文・地理から始めて草本に終わる分類百科全書であって,日本でも江戸時代に寺島良安によって《和漢三才図会》(1712)ができている。…

【類書】より

…梁の武帝が華林苑のアカデミーに徐勉ら700余人の学者を動員し,8年の歳月をかけて完成させた《華林遍略》720巻がその最初期のものである。《華林遍略》を基礎にして編纂されたのが北斉の《修文殿御覧》360巻,それをさらに3分の1の100巻に縮め詩文を加えたのが唐の《芸文類聚》,《修文殿御覧》を3倍にふくらませたのが宋初の《太平御覧》1000巻である。このうち六朝の2類書は逸文が存するのみであるが,現存する唐・宋の類書との比較研究によって,こうした系譜が明らかになった。…

※「太平御覧」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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