脈経(読み)みゃくけい(英語表記)Mài jīng

改訂新版 世界大百科事典 「脈経」の意味・わかりやすい解説

脈経 (みゃくけい)
Mài jīng

中国,晋の初め(3世紀後半ころ)に王叔和によって著されたといわれる医学書中国医学では脈は脈搏とか血脈血管),経脈などの意味を持っている。この書は脈搏についての説を中心にしていて,多くの部分は前代の書からの引用と考えられる。脈診基礎になった書であるが,現行本は北宋時代に校勘されたものをもととしていて,それ以前のものについては詳しいことはわからない。
脈学
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「脈経」の意味・わかりやすい解説

脈経
みゃくけい

中国、西晋(せいしん)(265~316)時代の医学書。診脈を中心とする診断学の元祖とされる王叔和(おうしゅくか)の撰(せん)、全10巻。現存する中国最古の診脈書である。内容的には、それまで中国で行われてきたさまざまな診脈法を、『素問』『傷寒論』などの古典医書から引用、集大成したほか撰者独自の見解も述べられている。20種余の脈を基準と定め、診脈部位と内臓器官の関係も明らかにされている。診脈の基本文献として大きな影響を与えた。

[山本徳子]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「脈経」の意味・わかりやすい解説

脈経
みゃくけい

脈診を中心とする中国医学の最古の診断学書。著者は王叔和で,3世紀初頭頃の著作とみなされている。

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世界大百科事典(旧版)内の脈経の言及

【中国医学】より

…鍼灸についても刺激点である経穴(つぼ)が発見され,それらの知識は皇甫謐(こうほひつ)(215‐282)によって整理されて《甲乙経》中にまとめられ,その後の鍼灸療法の基準になった。また重要な診断法である脈診についての知識をまとめた《脈経》は晋の初期(3世紀後半ごろ)に王叔和によって著されたとされ,陶弘景が当時存在していた本草書を整理して《神農本草経》(《神農本草》)を編纂したのは500年ころである。この2書もその後それぞれの分野の基本的な書とされて重視された。…

【脈学】より

…脈はさまざまの部位でとることが試みられ,三部九候診,人迎脈口診,寸口診などが行われたが,後世は橈骨(とうこつ)動脈の腕関節部でとる寸口診に落ち着いた。現存する最古の脈書は王叔和の《脈経》で,その後の研究はこれを中心にして展開し,この書に書かれている浮とか緊,沈などの脈搏の形容の多くは現在まで用いられているが,その内容が明らかでないものもある。脈搏は重要な症候であるため,それを覚えやすくするために歌の形にした脈訣も著された。…

※「脈経」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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