現銀(読み)ゲンギン

デジタル大辞泉 「現銀」の意味・読み・例文・類語

げん‐ぎん【現銀】

手持ちのかね。現金。近世通貨として銀貨を主に使った上方でいう。
よろづ売りに、掛け値なしと相定め」〈浮・永代蔵・一〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「現銀」の意味・読み・例文・類語

げん‐ぎん【現銀】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 銀貨が本位貨幣であった近世の京坂地方で多く用いた語 ) =げんきん(現金)
    1. [初出の実例]「此嶋中に一銭も指引なしの男ことに現銀(ケンキン)にて子のできるまでの宿をかし給ふか」(出典:浮世草子・世間胸算用(1692)二)
  3. げんきん(現金)
    1. [初出の実例]「年取物から限銀(ゲンギン)にて脇で買と、諸事胸さん用して」(出典:浮世草子・本朝桜陰比事(1689)一)
  4. ( 形動 ) =げんきん(現金)
    1. [初出の実例]「山伏ほっきと我を折って。ただ平蜘蛛と見えければ一休少し人柄にてこは現銀(ゲンギン)なる御慇懃」(出典:歌謡・新曲糸の節(1757)端歌・くんくつ一休)
  5. 現物の銀。銀塊。または発行準備の銀。

現銀の補助注記

江戸時代、江戸では金が本位貨幣であったが、上方では銀であったため、「現銀」と表記された。

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