改訂新版 世界大百科事典 「産地問屋」の意味・わかりやすい解説
産地問屋 (さんちどんや)
生産地問屋ともいう。卸売活動は大きく収集,中継,分散の3段階に分けられるが,そのうち主として生産者からの製品収集活動を専門にしているような卸売商のことをいい,商法上の問屋とは違う。とくに,特定の地域に同一業種の中小零細な生産者が集中的に立地して産地を形成している場合,そこで製品を収集し,生産者に代行して販売業務に携わるような卸売商が産地問屋の典型である。本来,産地問屋は,単に中小零細な生産者の製品の収集と販売に従事するだけでなく,生産者に対する原材料の調達や資金の貸付け,デザイン等製品の企画,また生産工程が細分化され専門業者ごとに分業化されている場合にはその統括・組織化など,多様な機能を果たしていたものが多い。しかし一方で,中小企業金融制度や情報ネットワークの整備,公的な中小企業政策の展開などにより生産者が自立化する傾向にあり,他方,大消費地の商社や集散地問屋などの直接産地進出も進んでおり,一部の伝統的な特産地などを除くと,産地問屋の地位,役割は大きく後退してきている。
→卸売
執筆者:原田 英生
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