田夫物語(読み)でんぷものがたり

改訂新版 世界大百科事典 「田夫物語」の意味・わかりやすい解説

田夫物語 (でんぷものがたり)

仮名草子作者不詳。寛永年間(1624-44)刊か。問答体形式をとる男色女色の優劣論。書名由来は,男色愛好者が〈華奢者(きやしやもの)〉(風流な伊達者)であるのに対し,女色支持者を〈田夫者〉(田舎者)と規定することによっており,当時の衆道の流行ぶり,それを風流とみる風潮もうかがえる。たがいに相手をののしり,和漢故事を引いては自己を権威づけ,みずからの正当性を主張する論争は,最後は常識的な女色側の勝ちとなるが,この両色優劣論は,八文字屋本に至るまで幾度となく繰り返し取り上げられるテーマであった。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

関連語 松田

貨幣 (名目) 賃金額を消費者物価指数でデフレートしたもので,基準時に比較した賃金の購買力を計測するために用いられる。こうしたとらえ方は,名目賃金の上昇が物価の上昇によって実質的には減価させられている...

実質賃金の用語解説を読む