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八文字屋本 はちもんじやぼん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

八文字屋本
はちもんじやぼん

浮世草子の一種。狭義には京都の八文字屋が出版した浮世草子と,中心作者江島其磧の作品。広義には,狭義のものと同時期,同傾向の作および八文字屋刊本の亜流作品を含めての浮世草子をさす。元禄 14 (1701) 年の其磧作『傾城色三味線 (けいせいいろじゃみせん) 』が最初で,主として横本仕立ての読みやすい書型をもつ。歌舞伎の時代物を世話物化した作も多いが,遊里生活を中心に描くいわゆる三味線物,人間の類型的性癖を描き分けるいわゆる気質 (かたぎ) 物などに最大の特色をもつ。八文字屋本の板木は明和3 (66) 年大坂の書肆升屋に売られ,事実上,八文字屋本の命脈は絶えた。

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デジタル大辞泉の解説

はちもんじや‐ぼん【八文字屋本】

八文字屋から出版された浮世草子役者評判記の類の総称。特に文学的には浮世草子をさす。広義には、同時代の他の八文字屋風の浮世草子をもいう。

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百科事典マイペディアの解説

八文字屋本【はちもんじやぼん】

浮世草子の一種。京都の書店八文字屋から刊行された諸作品をまとめていう。作者は江島其磧(きせき),八文字屋自笑(じしょう),八文字屋其笑(きしょう)など。1702年の《けいせい色三味線》に始まる。
→関連項目貸本屋多田南嶺役者評判記

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世界大百科事典 第2版の解説

はちもんじやぼん【八文字屋本】

狭義には,浮世草子のうち1701年(元禄14)刊江島其磧(きせき)作《けいせい色三味線》以後約70年間,京都の八文字屋八左衛門の刊行した諸作を一括して指す称。広義には,その中心作者其磧の作で他店より刊行のものを含め,さらに同時期・同傾向の他作や,1780年代に及ぶ亜流作に範囲を広げていうことがある。その衰退後の1800年代に初めてこの称が用いられ,明治以後文学史の術語としても用いられている。其磧は趣向を重視し,構成の才にすぐれ,好色物・気質(かたぎ)物に力作があるが,演劇翻案の時代物にも長編構成技巧に見るべきものがある。

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大辞林 第三版の解説

はちもんじやぼん【八文字屋本】

八文字屋から出版された本。特に浮世草子をさすが、広義には同期同種の他の書肆のものも含める。元禄(1688~1704)末から明和期(1764~1772)にかけて出された。江島其磧の「傾城色三味線」「世間子息気質」などが代表作。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

八文字屋本
はちもんじやぼん

浮世草子(うきよぞうし)のうち、1701年(元禄14)刊の『けいせい色三味線(いろじゃみせん)』以後、1770年代に及ぶ間に、京都の八文字屋八左衛門の刊行した諸作。また、その中心作者江島其磧(えじまきせき)の作で他店より刊行のもの、同時期、同傾向の他作者の作、1780年代に及ぶ亜流作を含めていうことがある。この語は八文字屋衰退の1800年代に初めて用いられ、近代の文学史の術語として継承された。其磧、多田南嶺(ただなんれい)などの才筆により、西鶴(さいかく)以後の浮世草子の主流となり、八文字屋隆盛の因をなし、江戸にも進出、後期江戸文学にも影響を及ぼした。初期には好色物、のちには演劇翻案の時代物長編が多く、趣向の珍奇と構成の巧妙をもってもてはやされた。[長谷川強]

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世界大百科事典内の八文字屋本の言及

【江島其磧】より

…後年死没に至る20年間ほどは,歌舞伎・浄瑠璃の翻案を主とした長編の時代物の作が多く,《鎌倉武家鑑》(1713)など長編の構成力の熟達を示すが,慣れによる安易に流れた作も見える。西鶴以後の浮世草子作者の第一人者で,彼の作を中心とする八文字屋刊の浮世草子を八文字屋本と呼ぶ。西鶴の鋭さはないが,趣向の珍奇,構成力の卓抜,平明通俗の表現を特色とし,当時の人気,後代への影響は西鶴をしのぐものがある。…

※「八文字屋本」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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