国指定史跡ガイド 「由利海岸波除石垣」の解説
ゆりかいがんなみよけいしがき【由利海岸波除石垣】
秋田県にかほ市の旧金浦(このうら)町から旧仁賀保(にかほ)町までの日本海沿岸にある石垣。波浪から海岸を守り、塩害から農地・農作物を守るために本荘藩が18世紀に造営した。19世紀前半の作とみられる『由利南部海岸図』にはこの石垣が描かれており、建造以来しばしば修理され、近世後期において維持する努力が記録に残っている。1997年(平成9)に国指定史跡となった。石垣は、自然石を積み上げ、表面には径30cmから50cm前後の大振りな石を配置し、内部に小割石や砂利を詰めて築かれており、18世紀末の大石久敬『地方凡例録』に記された築造法と一致している。高さは、約1.2mから3m前後で、水抜きの水門を備えている。現在は、明確な築造年代は不明だが、飛(とび)、芹田(せりだ)に残る。飛は鷲森、石崎、蟹坪、くずれの4ヵ所、芹田では2区間の延べ約370mが残存している。JR羽越本線仁賀保駅から車で約10分。