塩害(読み)エンガイ

百科事典マイペディアの解説

塩害【えんがい】

大気や水に多量の塩分を含むために生ずる害の総称。土壌中の塩分が,地表付近に析出してその濃度を高め,農作物の生育をそこなう現象などがある。また干ばつ時に海水が河口付近に侵入し,付近の田地に起こす塩害をとくに干塩害という。台風時などに強風のため海水のしぶきが陸地に侵入し,農作物や電線に害を与えるが,これは塩風害または潮風(ちょうふう)害という。

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世界大百科事典 第2版の解説

えんがい【塩害】

大気や水に多量の塩分を含むために生ずる害の総称。海上の波頭が砕けると塩水滴が空中に飛び出し強風で陸上に運ばれ,塩風害が発生する。沖縄などでは降雨の少ない風台風で農作物が塩風害を受けるので,島のまわりに防潮林が植えられている。東京や横浜でも台風一過被害が少なかったと安心していると庭の木がすべて真っ赤に枯れてしまうことがある。冬の季節風低気圧による場合は塩雪害と呼ばれる。塩害は植物だけでなく,金属類の腐食を早める。

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大辞林 第三版の解説

えんがい【塩害】

海から吹いてくる塩分を多量に含んだ風によって、植物や送電線などが受ける害。塩風害えんぷうがい。潮害。
旱魃かんばつ時の地下からの海水の浸入、河川への海水の逆流、高潮などによる海水の浸入、乾燥地灌水などによって土壌に塩分が蓄積され、農作物などが受ける害。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

塩害
えんがい

土壌中や空中の塩分によって、農作物や建造物、施設などが被害を受けること。土壌中の塩分の濃度が高くなるために生ずる塩土害と、強い風によって海水の飛沫(ひまつ)が吹き上げられて内陸に運ばれることによる塩風害または潮風害に大別される。塩土害のうち干魃(かんばつ)のときに地中の塩が地表に析出して栽培されている農作物に被害を与えることを旱(かん)塩害といい、耕地の農作物が直接海水に浸されたり、海水をかぶる場合を塩水害という。塩風害は強風にのって多量の海塩粒子が運ばれ、植物、農作物を枯らしてしまう。送・配電線の場合は、海塩粒子から析出したカルシウム塩が硫酸ミストと化合して石膏(せっこう)となり、碍子(がいし)の絶縁機能を低下させることによって停電などの被害を起こす。塩分が植物や送電線に付着した直後に強い雨が降ると被害は減少する。海岸地方ではアルミニウム建材やテレビアンテナの被害などがみられるようになった。また1983年(昭和58)ごろから、北海道、東北地方などの日本海側を中心に、塩害の新しい形として海岸沿いのコンクリート製橋脚に傷みが目だち始めた。鉄筋コンクリート骨材用の砂は、川砂がおもに使用されていたが、その払底に伴い海砂を洗浄して使うことが多くなり、コンクリート強度劣化等がおこる例が発生している。
 また、日本海沿岸の降雪地帯では、冬季北西の季節風によって多量の海塩粒子を含んだ雪が内陸部にまで運ばれ、送電線や碍子に付着して絶縁機能の低下による停電やフラッシュオーバーを起こすことがある。この現象は塩雪害(低温季塩害)といわれ、冬季の電力送配電の障害となっている。塩害を防ぐ対策としては、耐塩害電気設備の開発、天気予報の活用による有効な対策の樹立、防風林・防潮林の設定などがある。[安藤隆夫・半澤正男]

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