化学辞典 第2版 「異性核シフト」の解説
異性核シフト
イセイカクシフト
isomer shift
メスバウアー効果で観測される共鳴線の位置が線源,吸収体の化学状態によってずれる現象.このずれの原因は,線源の原子核の基底状態と励起状態とのエネルギー差と,吸収体における両状態のエネルギー差がわずかに異なることによる.そのエネルギー差の原因は,原子核の核半径が基底状態と励起状態でわずかに異なることと,原子核の位置でのs電子密度が物質によって異なることによる.したがって,このシフトを測定することにより,線源または吸収体の原子核でのs電子密度を定量的に推定できる.たとえば,原子の価電子が異なれば,異性核シフトの大きさが異なる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報