疱瘡神祠跡(読み)ほうそうじんしあと

日本歴史地名大系 「疱瘡神祠跡」の解説

疱瘡神祠跡
ほうそうじんしあと

[現在地名]岩出町備前

備前びぜん集落の北方にあったが、祠は現存しない。本地愛染明王。享保一四年(一七二九)の岩出組社方指出帳写(藤田家蔵)によると、次のような伝承がある。昔、一一月二三日の夜にこの神が老婆の姿をして備前村の大西家を訪れ宿を請うた。貧しい当主は食を与えることができず、ただ一夜の宿を貸した。老婆は炉辺で夜を明かし、明け方に主人に頼んで清水を汲み、湯をわかしてもらい、それを飲んで去った。そのとき自分は同家の祖先に縁があるといい、主人の厚志に対し、今後同家の子孫には疱瘡を軽くし長命させようと約した。主人が見送ると、老婆は愛染明王の姿に身を変じて消えた。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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