斎藤茂吉の第16歌集。1949年(昭和24)8月岩波書店刊。茂吉は第二次世界大戦末期、郷里山形県金瓶(かなかめ)(現上山(かみのやま)市)に疎開し、46年1月大石田町に移って47年11月までそこにとどまった。その大石田時代の作824首(第2刷および全集では850首)を収める。心に敗戦の痛手を負い、身に肋膜(ろくまく)炎の重患を患った茂吉が、その心と身を郷国の風土に置いての詠唱で、沈痛にして澄明、ことに最上(もがみ)川の詠に秀歌が多い。「最上川逆白波(さかしらなみ)のたつまでにふぶくゆふべとなりにけるかも」。晩年の代表歌集であり、茂吉の全歌集中の最高峰とされる。
[上田三四二]
『佐藤佐太郎著『茂吉秀歌 下』(岩波新書)』▽『上田三四二著「「白き山」の茂吉」(『日本文学研究資料叢書 近代短歌』所収・1973・有精堂出版)』
…45年4月郷里金瓶(かなかめ)に疎開,敗戦の現実に深い打撃をうけ,翌年2月大石田に移居,肋膜炎で重体となった。大石田在住時の歌を収める歌集《白き山》は写生の大自在境に達したものである。51年文化勲章を受章。…
※「白き山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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