化学辞典 第2版 「相似法則」の解説
相似法則
ソウジホウソク
principle of similitude
模型と実装置との間に成立する関係をいう.実物のかわりに模型を用いて実験を行えば,その実験結果にもとづいて実物の現象を推定することができる.これが模型実験の意義である.一般に二つの同様な系(たとえば,模型と実装置)で,無次元項の値がそれぞれ同一であれば,両系が相似であるという.幾何学的に相似な,圧縮性の影響のない二つの流体力学系を比較するとき,慣性力と粘性力とが支配的な条件下では,両者の比,すなわち,流れのレイノルズ数が等しければ,二つの流れの模様は相似になる.たとえば,長さおよび時間を適当に変えると,二つの流れの状態は完全に一致する.これをレイノルズの相似法則という.慣性力と重力のみが支配的な場合は,両者の比,フルード数が等しければ相似となる.しかし,慣性力,粘性力,重力のいずれも省略できない場合は,二つの無次元項(レイノルズ数とフルード数)を同時に等しくする必要があり,実際上,完全な相似を維持することは困難である.相似になる現象は,流れの模様のほかに,温度,濃度の分布,時間と濃度の関係などがある.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報