石蹴り遊び(読み)イシケリアソビ(その他表記)Rayuela

デジタル大辞泉 「石蹴り遊び」の意味・読み・例文・類語

いしけりあそび【石蹴り遊び】

原題、〈スペインRayuelaコルタサル長編小説。1963年刊。姿を消した娼婦を探してパリの街をさまよい、ブエノスアイレス狂気に陥る男の姿を描く。二通りの読み方が可能な実験的技法で書かれた作品

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「石蹴り遊び」の意味・わかりやすい解説

石蹴り遊び
いしけりあそび
Rayuela

アルゼンチンの作家コルタサルの長編小説。1963年刊。小説家を志してパリにきたアルゼンチン人オラシオ・オリベイラ主人公に、ある事件がもとで失踪(しっそう)する恋人のラ・マーガ、帰国したオリベイラを出迎える友人で主人公の分身でもあるトラベラーとその妻のタリータ、これらの人物を中心にデラシネ(根なし草)的現代人の魂の彷徨(ほうこう)と愛の探究の物語が展開する。作者は実験的手法を思うさま駆使しているが、内容と手法が巧みに結合して、現代ラテンアメリカ小説の代表作と評価されている。

[木村榮一]

『土岐恒二訳『ラテンアメリカの文学 8 石蹴り遊び』(1983・集英社)』

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世界大百科事典(旧版)内の石蹴り遊びの言及

【コルターサル】より

…代表的な作品は,ボルヘスの系譜につながる幻想的な短編から成る《遊戯の終り》(1956),《秘密の武器》(1959),《クロノピオとファーマの物語》(1962),《すべての火は火》(1966)。また,パリとブエノスアイレスを彷徨する2組の男女の生を多義的な読みの可能な文体で綴った《石蹴り遊び》(1963)や現代のラテン・アメリカの状況に怒りと苦悩を抱く男の内面をコラージュ形式で浮かび上がらせた《マヌエルの書》(1975)などの長編も高く評価されている。さらに《八十世界一日一周》(1966),《最終ラウンド》(1969)といったエッセー集には,映画,ジャズ,絵画その他にわたる彼の広範な教養をうかがうことができる。…

※「石蹴り遊び」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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