日本大百科全書(ニッポニカ) 「研摩材」の意味・わかりやすい解説
研摩材
けんまざい
abrasive
固形物質をみがくための硬い物質で、粒状あるいは粉末状である。研摩材の特性は硬さと粒度によって表される。硬さはモース硬さあるいはビッカース硬さで知ることができ、研摩材を選ぶときは、みがかれる物よりモース硬さあるいはビッカース硬さが上のものにする必要がある。もう一つ重要な要素は粒子径で、同じ硬さをもつ研摩材で物をみがいても、みがかれた表面状態は粒子径によって違う。粒子径はJIS(ジス)規格で34段階(最小は5マイクロメートル)あるが、鏡面研摩など精密研摩の場合には1.0から0.5マイクロメートル程度の微粉末を使用する。研摩材には、滑石、水晶、ざくろ石や天然ダイヤモンドのような天然研摩材と、酸化クロム、アルミナ、カーボランダム、炭化ホウ素や人工ダイヤモンドなどの人造研摩材(研摩材としては天然品より多く利用されている)がある。研摩材を実際に用いるときは、砥石(といし)、研摩布紙(エメリー紙はアルミナ質で金属用として使用し、ざくろ石質は木工用として使用する)、微粉末を油脂に混合した油脂研摩材の形で用いたり、粒状あるいは粉末状のままでガラスや金属板上にまいて、そのまま使用することもある。
[島田昌彦]