マグネシウム粘土鉱物の一種。タルクtalcとも呼ぶ。化学組成はMg3Si4O10(OH2)。灰色,淡緑色,半透明塊状,ときには葉片塊状となる。また白色粘土状を呈する。単斜晶系,板状結晶で板状方向にへき開が発達し真珠光沢を示す。多くは微細鱗片状で,粉末は強い脂感をもつ。モース硬度1,最も軟らかい鉱物の一つ。蛇紋岩などの熱水分解部やドロマイトの熱水変質部,またケイ質ドロマイトの低変成帯に産出する。岩石の構成鉱物として滑石片岩にも含有される。
白色上質のものは微粉として,製紙,塗料,ゴムなどの混合用クレーとして,さらに化粧品,医薬品としても利用される。また滑石磁器(ステアイト磁器)原料として,各種製品のマグネシウム添加物として重要な資源である。北海道松前地方に産出するが,日本国内では良質のものは少なく,中国遼東半島などより産出するものが輸入され使用されている。
執筆者:湊 秀雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
滑石
英名 talc
化学式 Mg3Si4O10(OH)2
少量成分 Fe,Ni
結晶系 単斜,三斜
硬度 1
比重 2.6~2.8
色 白,淡緑
光沢 真珠~脂肪
条痕 白
劈開 一方向に完全
(「劈開」の項目を参照)
その他 撓性あり
モースの硬度計でもっとも低い硬度を示す鉱物。おもに変質した超塩基性岩、石英‐滑石片岩といった低変成度の広域変成岩中に産する。珪質(けいしつ)苦灰岩起源のスカルン中にも産する。普通は塊状ないし繊維状結晶の集合であるが、まれに粗い葉片状結晶もある。粉末は非常にすべすべしている。医薬品、農薬、化粧品の増量剤、製紙用の材料として用いられる。英名の語源は古く、おそらくアラビア語から由来したと考えられている。
[松原 聰]
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出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
…京都府船井郡園部町の南西部にある渓谷。瑠璃渓とも記し,かつては滑石(なめらいし)と呼ばれた。国の名勝。…
※「滑石」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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