滑石(読み)カッセキ

デジタル大辞泉 「滑石」の意味・読み・例文・類語

かっ‐せき〔クワツ‐〕【滑石】

マグネシウムを含む含水珪酸塩けいさんえん鉱物白色または緑灰色の軟らかい鉱物で、ろうのような感触がある。三斜晶系単斜晶系粉末は紙・化粧品・医薬品の増量剤などに用いる。タルク。

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精選版 日本国語大辞典 「滑石」の意味・読み・例文・類語

かっ‐せきクヮッ‥【滑石】

  1. 〘 名詞 〙 含水珪酸マグネシウムを主成分とする柔らかい鉱物。単斜晶系。白色または緑色を帯び絹糸光沢がある。六角板状晶あるいは葉片状の集合体、または結晶粉末。結晶片岩、蛇紋岩中に産する。吸収剤散布剤などの医薬品、打粉(うちこ)、減摩剤、滑石磁器の原料などに用いられる。タルク。タルカン。〔日用月用能毒之捷径(1568)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「滑石」の意味・わかりやすい解説

滑石 (かっせき)

マグネシウム粘土鉱物の一種。タルクtalcとも呼ぶ。化学組成はMg3Si4O10OH2)。灰色,淡緑色,半透明塊状,ときには葉片塊状となる。また白色粘土状を呈する。単斜晶系,板状結晶で板状方向にへき開が発達し真珠光沢を示す。多くは微細鱗片状で,粉末は強い脂感をもつ。モース硬度1,最も軟らかい鉱物の一つ。蛇紋岩などの熱水分解部やドロマイト熱水変質部,またケイ質ドロマイトの低変成帯に産出する。岩石の構成鉱物として滑石片岩にも含有される。

 白色上質のものは微粉として,製紙,塗料,ゴムなどの混合用クレーとして,さらに化粧品,医薬品としても利用される。また滑石磁器(ステアイト磁器)原料として,各種製品のマグネシウム添加物として重要な資源である。北海道松前地方に産出するが,日本国内では良質のものは少なく,中国遼東半島などより産出するものが輸入され使用されている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「滑石」の意味・わかりやすい解説

滑石
かっせき
talc

Mg3Si4O10(OH)2 。単斜晶系の鉱物。六角板状結晶。普通は板状または繊維状集合として産する。{001}で劈開完全,劈開片は曲げることができ,いくぶん弾性がある。硬度1,比重 2.7~2.8。劈開片で真珠光沢,触感はなめらか。純粋なものは白色,普通は淡緑ないし緑色。マグネシウムケイ酸塩鉱物 (橄欖石など) ,ケイ質ドロマイト,マグネサイトが変質して2次的に生成された鉱物である。広域変成作用を受けたマグネシウム含有炭酸塩岩や蛇紋岩中に産する。日本ではほとんど蛇紋岩中の小レンズ (幅1~数m,長さ 10~20m) として産する。良質の滑石としては,二酸化ケイ素>60%,酸化マグネシウム>30%,酸化カルシウム<2%,酸化アルミニウム<1.5%,三酸化二鉄<0.5%が望ましい。陶磁器うわぐすり,ステアタイト磁器,製紙用填料,塗料助剤,減磨剤,農薬などに用いられる。北海道松前,埼玉,岩手,茨城,和歌山,兵庫,岡山から産出する。古墳時代には石製模造品として鏡,剣,玉など祭祀用に各地で盛んに使われた。また仏典を刻んだり経筒などにも用いられた。タルクともいう。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「滑石」の意味・わかりやすい解説

滑石(データノート)
かっせきでーたのーと

滑石
 英名    talc
 化学式   Mg3Si4O10(OH)2
 少量成分  Fe,Ni
 結晶系   単斜,三斜
 硬度    1
 比重    2.6~2.8
 色     白,淡緑
 光沢    真珠~脂肪
 条痕    白
 劈開    一方向に完全
       (「劈開」の項目を参照)
 その他   撓性あり


滑石
かっせき
talc

モースの硬度計でもっとも低い硬度を示す鉱物。おもに変質した超塩基性岩、石英‐滑石片岩といった低変成度の広域変成岩中に産する。珪質(けいしつ)苦灰岩起源のスカルン中にも産する。普通は塊状ないし繊維状結晶の集合であるが、まれに粗い葉片状結晶もある。粉末は非常にすべすべしている。医薬品、農薬、化粧品の増量剤、製紙用の材料として用いられる。英名の語源は古く、おそらくアラビア語から由来したと考えられている。

[松原 聰]

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百科事典マイペディア 「滑石」の意味・わかりやすい解説

滑石【かっせき】

タルクとも。白色または緑灰色の鉱物。硬度1で鉱物中最もやわらかい。脂感のあるガラス光沢で,へき開片は曲げることができ,幾分弾性がある。単斜晶系または三斜晶系で,成分はMg3Si4O1(/0)(OH)2。超苦鉄質岩の熱水変質またはケイ質ドロマイトの変成作用でできる。粉末は製紙,ゴム,化粧品などの増量剤,絶縁用の滑石磁器原料など用途が広い。→蝋石(ろうせき)
→関連項目タルカム・パウダー

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防府市歴史用語集 「滑石」の解説

滑石

 やわらかい石なので、加工がしやすいのが特ちょうです。弥生時代には紡錘車[ぼうすいしゃ]の材料として使われました。中世には、保温性がよいという利点を生かして、滑石でなべが作られたりもします。

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化学辞典 第2版 「滑石」の解説

滑石
カッセキ
talc

[同義異語]タルク

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世界大百科事典(旧版)内の滑石の言及

【琉璃渓】より

…京都府船井郡園部町の南西部にある渓谷。瑠璃渓とも記し,かつては滑石(なめらいし)と呼ばれた。国の名勝。…

※「滑石」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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