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水晶 すいしょうrock crystal

翻訳|rock crystal

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

水晶
すいしょう
rock crystal

石英六角柱状の結晶形をもった鉱物。 SiO2 。純粋に近い無水ケイ酸でできており,ガラスのような外観をもっているが,美麗で宝石の一部に加えられることもある。六角柱の形をなしている柱面と,先端部のとがった部分を形成している,それぞれ三角形の錐面から成っている。一般には無色透明であるが,結晶構造のずれや,不純物の混入などから発生すると想像される着色水晶も数多く存在する。その色合いによって紫水晶紅水晶黒水晶黄水晶などと呼ばれている。フランス,イギリスなどを中心に多くの地方に産するが,日本でも山梨県,新潟県などに産する。用途は装身具印材,置物などのほか,工業原材料として用いられる。たとえば,水晶の性質の一つである圧電効果を利用した水晶時計,水晶片の機械的共振を利用した水晶発振器などがそれである。

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

水晶

石英が六角柱状に大きく結晶したもの。主要成分の二酸化ケイ素(SiO2)はほとんどが無色透明で不定形だが、透明や白色肉眼で見える結晶が「水晶」と呼ばれる。微量の不純物を含むと色を帯び、紫水晶(アメシスト)などの色つき水晶は装飾品として人気が高い。

(2015-10-20 朝日新聞 朝刊 埼玉全県・2地方)

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デジタル大辞泉の解説

すい‐しょう〔‐シヤウ〕【水晶/水精】

無色透明で結晶形のはっきりしている石英のこと。ふつう六角柱状で先がとがる。装飾品・印材・光学機材などに利用。水玉(すいぎょく)。

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百科事典マイペディアの解説

水晶【すいしょう】

六方晶系(結晶系)に属するきれいな結晶形を示す石英。純粋なものは無色透明。圧電性(圧電気)を利用して水晶発振器を作る。微量の含有物により着色し,美しいものは装飾に用いる。
→関連項目人工鉱物水晶振動子石英ガラス

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世界大百科事典 第2版の解説

すいしょう【水晶 rock‐crystal】

水晶は石英俗称で,狭義には結晶の外形が見える無色透明な石英をさす。古くは中国や日本で水精とも書いた。ギリシア時代には水晶はもと氷であったと考え,同じ言葉(クリュスタロスkrystallos)で呼んだ。これが結晶を意味する英語crystalの語源となっている。ヨーロッパとはまったく独立に,同じような考え方は中国,日本,その他の国にも存在した。水精という名はこのようにしてできたものであろう。 ヨーロッパでは17~18世紀ころから,crystalという語を水晶だけではなく多面体の外形をもつ物質の総称に用いるようになった。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

水晶
すいしょう
rock crystal

普通、結晶形の明瞭(めいりょう)な石英のことをいうが、本来は無色透明で、きずのない結晶に対して使われる。古代においては、水晶は水が凍ってできたものと信じられていたらしく、英名のクリスタルという語は氷を意味するギリシア語に由来している。[松原 聰]

結晶の特徴と産状

結晶形は六角柱状で端は2種類の面が交互に現れる六角錐(すい)状をしているのが基本である。これに何種類かの結晶面が柱面と錐面の境界部に現れることがある。柱面には柱の伸びの方向と垂直の方向に無数の平行な条線が発達している。この条線は錐面には現れない。錐面のうち1種類のみが異常に発達すると、端が三角形にみえる。
 結晶構造上、対称軸はもつものの、対称面と対称心がない。しかし、右手と左手の関係(実物と鏡に写った像との関係)のような対をなす結晶が存在し、右型(右水晶)と左型(左水晶)に区別される。水晶はある一定の方向から圧力を加えると、誘電分極をおこして帯電するため、水晶発振器などに利用される。ほかに光学プリズムなどにも使われるが、これらの用途に適する無色透明で、きずのない大型結晶は天然に少なく、現在ではほとんど合成水晶に頼っている。
 水晶では双晶が普通にみられる。おもに、伸長方向と平行な軸(c軸)の回りに180度回転した関係で二つの結晶が組み合わさったドフィーネ双晶(右水晶どうし、左水晶どうしの2種類)、左右水晶がc軸と平行に反射の関係で組み合わさったブラジル双晶がある。また、日本産の水晶として詳しく研究された日本式双晶は、2個体が互いに84度34分傾いて結合しているもので、しばしば大きな平板状結晶をしてハート型になる。山梨県牧丘(まきおか)町(現山梨市)の乙女鉱山(閉山)のものが世界的に有名である。
 水晶はきわめて普通にみられる結晶鉱物で、とくに花崗岩(かこうがん)中の石英脈、花崗岩質ペグマタイトの空隙(くうげき)によく産する。ほかに、金属鉱脈や変成岩中の石英脈の空隙に、またあらゆるケイ酸分に富む岩石の空隙にみられる。日本では山梨県甲府付近、岐阜県苗木地方、滋賀県田上(たなかみ)地方などで良晶を産するが、工業用や装飾用に利用されることはほとんどない。[松原 聰]

種類

水晶は古代より装飾品として愛用されてきており、外観によっていろいろな名がつけられて次のとおり親しまれている。
(1)黄水晶(きずいしょう)(シトリンcitrine) 黄ないし黄褐色透明なものをいう。色の原因はコロイド状に分散した含水第二酸化鉄の微粒子によるものとされている。天然での産出は比較的まれで、マダガスカル、ブラジルなどに知られる。黄水晶はアメシスト(紫水晶)や煙(けむり)水晶を熱することによって容易に得ることができるため、宝石市場に出ている黄水晶(シトリンあるいはシトリン・トパーズとよんでいる)のほとんどは熱処理品と思って間違いない。天然の黄水晶には、熱処理した紫水晶のような赤みがないのが普通である。研磨したものは、本物のトパーズ(黄玉(おうぎょく)。宝石店ではしばしば黄水晶のことをトパーズと称して売っている)と区別しがたいので注意が必要である。
(2)草入り水晶 水晶にはしばしば他の鉱物が含有されている。このうち、針状ないし繊維状の結晶が多数含有されているものを草入り水晶とよぶことがある。結晶の種類としてはルチル(金紅石)、電気石、角閃石(かくせんせき)がもっとも普通である。ルチル入りのものは、ブラジルやマダガスカルからよく産し、赤褐色ないし黄色を呈する。毛状のルチルが入っているものはビーナスの毛髪石などとよばれ、かつてヨーロッパで人気を得た。日本産のものはほとんど電気石や角閃石であることが多く、山梨県などでよく産出した。ほかにコケのような緑泥石を含んで緑色にみえる水晶や液体包有物がよくみえる水晶(水入り水晶)などは広い意味でこのグループに入る。また、結晶成長の際、微細な他鉱物が成長面上に付着することがある。これが断続的に行われると、結晶内にいくつも境目がみえてくる。これを山入り水晶、英語ではファントム・クォーツ(幻の水晶)あるいはゴースト・クォーツ(幽霊水晶)とよんでいる。
(3)黒水晶 煙水晶のうち、ほとんど真っ黒なものをいい、装飾品とされる。モリオンmorionとよぶことがある。
(4)煙水晶 わずかに煙がかったものから濃い黒色のものまである。また、一つの結晶でも色の濃淡が著しいことがある。熱すると色がなくなるが、ある種の煙水晶では色の消える前に黄褐色ないし黄色になることがある。多くの黄水晶はこうしてつくられたものである。煙色になる原因としては、ケイ素を置換してアルミニウムが入ることにより、陰イオンに欠陥が生じて光を吸収するためと考えられている。また実際放射線を無色透明な水晶に当てると煙色になるところから、天然の煙水晶は放射能によって無色透明な水晶から二次的にできたともいわれている。煙水晶はおもに花崗岩質ペグマタイトから産し、世界的に産地は多い。日本では岐阜県苗木地方によく産出する。
(5)紅水晶 淡桃ないし桃、紅桃色をした水晶で、産出はきわめてまれである。色の原因はルチル(金紅石)やアルミニウムの置換によるものと考えられる。
 このほか、古くから知られ2月の誕生石ともなり、水晶中もっとも高価なアメシストなどがある。[松原 聰]
『秋月瑞彦著『山の結晶――水晶の鉱物学』(1993・裳華房)』

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世界大百科事典内の水晶の言及

【鉱物】より


【鉱物の諸性質】

[形態]
 鉱物が自由な空間において結晶した場合は,本来その鉱物の示す規則正しい対称性をもつ凸多面体の結晶形態を示し,この場合を〈自形〉を示すという。岩石の空隙(晶洞)中に熱水より生じた水晶の結晶はその例である。これに対し,岩石を構成する鉱物の多く,例えば花コウ岩中の石英などは,他の鉱物の間をみたして結晶し,〈他形〉を示している。…

【人工鉱物】より

… 鉱物,特に宝石,貴石の人工鉱物化はかなり古くから試みられたが,実質的に開始されたのは近代化学の勃興と軌を一にし19世紀からである。特に有名なものは,ルビー,ダイヤモンド,水晶の研究である。ルビーの研究はフランスのベルヌーイA.V.L.Vernuilにより行われ,火炎溶融法(ベルヌーイ法)によって19世紀末に成功している。…

※「水晶」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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