炭化ホウ素(読み)タンカホウソ

化学辞典 第2版 「炭化ホウ素」の解説

炭化ホウ素
タンカホウソ
boron carbide

炭化四ホウ素B4Cと一般に表されるが,実際はB4CからB10.4Cまである.Cの割合が低いものはαりょう面体晶系ホウ素の固溶体とされる.B4C(55.26)は1900 ℃ 以下ではα型,以上ではβ型になる.B2O3とCを電気炉中で1400~2300 ℃ に加熱してつくる.

2B2O3 + 7C → B4C + 6CO

構造的には,B12 二十面体が直鎖状の C3 でつながった形のB12C3のりょう面体結晶である.黒色で硬く,ダイヤモンドBNにつぐ硬さをもつ.密度2.51 g cm-3(25 ℃).融点2350 ℃.不活性気体中では溶融しても分解しない.酸素中で加熱しても800 ℃ までは安定である.耐化学薬品性も大きく,室温では酸・アルカリに侵されない.高温・高圧下では濃硝酸に徐々に侵される.硬く,耐化学薬品性も大きいことから,切削工具,研磨剤,粉末を加熱加圧成型した器具の製造などに用いられる.また金属と接合したサーメットもつくられる.このほか原子炉制御材(中性子吸収材)にも使用される.[CAS 12069-32-8:B4C][CAS 12075-36-4:B12C3]

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改訂新版 世界大百科事典 「炭化ホウ素」の意味・わかりやすい解説

炭化ホウ(硼)素 (たんかほうそ)

ホウ素の炭化物には,BCからB6Cまでの組成のものが存在するとされているが,最も確実なものはB4Cで,ふつうこれを炭化ホウ素と呼んでいる。比重は2.51,融点2450℃,ヌープ硬さは約2800。工業的には酸化ホウ素B2O3炭素とを2500~2600℃に熱してつくる。硬度が高いため,粉体は高硬度セラミックスのラッピングや超音波加工の砥粒に用いる。耐酸化性に乏しいため,研削といし(砥石)の形にして使うことはほとんどない。焼結体はノズル,加工ジグに用いる。熱中性子の吸収能力が大きく,高温における蒸気圧がきわめて低いため,原子炉の制御材として利用され,高温原子炉用材料として注目されている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「炭化ホウ素」の意味・わかりやすい解説

炭化ホウ素
たんかホウそ
boron carbide

組成は BC から B6C にわたるが,普通 B4C をさす。工業的には酸化ホウ素と炭素とを 2500~2600℃に加熱して製造する。光沢ある黒色結晶,融点 2350℃,比重 2.5。硬さは炭化ケイ素より硬く,ダイヤモンドに次ぐ。化学的には非常に安定で,研磨材,耐火材料,金属加工具などに使用される。

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