硫化水素ガス中毒(読み)りゅうかすいそがすちゅうどく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「硫化水素ガス中毒」の意味・わかりやすい解説

硫化水素ガス中毒
りゅうかすいそがすちゅうどく

硫化水素の毒性によるガス中毒で、肺刺激作用、呼吸酵素抑制作用、呼吸中枢麻痺(まひ)作用がみられる。硫化水素は腐卵臭あるいは硫黄(いおう)泉臭をもつ無色のガスで、人絹スフ製造、硫化鉱精錬、石油精製、精糖などの工場のほか、下水管内などでも発生する。10ppmで目の粘膜を刺激して角膜炎などをおこし、20~40ppmで呼吸器粘膜を刺激して咳(せき)や痰(たん)などがみられる。500ppm以上の高濃度のガスを吸入すると肺炎や肺水腫(すいしゅ)がみられ、呼吸困難や呼吸麻痺をおこして死に至る。一般に、呼吸器を経て体内に吸収された硫化水素は、速やかに酸化されて硫酸塩となり、尿中に排泄(はいせつ)されるが、この解毒能の限界を超えた高濃度のガスを吸入すると、突然に呼吸麻痺などがおこる。労働衛生上の許容濃度は10ppmである。

[重田定義]

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