改訂新版 世界大百科事典 「硫酸チタン」の意味・わかりやすい解説
硫酸チタン (りゅうさんチタン)
titanium sulfate
チタンの硫酸塩で,チタンの酸化数ⅢとⅣの化合物が知られている。
硫酸チタン(Ⅲ)
化学式Ti2(SO4)3。硫酸酸性の硫酸チタン(Ⅳ) Ti(SO4)2水溶液を電解還元してつくる。緑色結晶。水,エチルアルコール,エーテル,濃硫酸に不溶,希硫酸,塩酸に溶けて紫色となる。
硫酸チタン(Ⅳ)
化学式Ti(SO4)2。塩化チタン(Ⅳ)と三酸化硫黄を塩化スルフリルSO2Cl2中で反応させると無水和物が得られ,硫酸チタン(Ⅲ)と硝酸を熱すると水和物が得られる。無水和物は無色吸湿性の粉末。150℃に熱するとSO3を発生して分解する。3水和物は無色毛状晶。水に溶ける。熱すると分解してTiO2となる。4水和物は無色斜方晶系晶粉。酸性の水に溶ける。9水和物も無色晶粉である。
酸化硫酸チタン(Ⅳ)
化学式TiO(SO4)。つくったばかりの酸化チタン(Ⅳ)を濃硫酸に溶かして得られる。無水和物は黄色みを帯びた晶粉。熱すると分解してSO2を発生し,TiO2となる。水には加水分解して溶ける。2水和物は白色の針状晶,1水和物は無色透明な結晶である。
執筆者:中原 勝儼
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報