社会国家(読み)しゃかいこっか(その他表記)Sozialstaat

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「社会国家」の意味・わかりやすい解説

社会国家
しゃかいこっか
Sozialstaat

すべての国民人間に値する生存を確保することを使命とする国家をいう。ここでは国家の目的は,社会内部における不当なる社会的差別をなくし,すべての国民に相当なる生活水準を確保することにあり,このため国家は,社会的経済的領域にも積極的に介入する。第2次世界大戦後の各国憲法は,国家の任務が消極的な秩序維持にとどまるとする 18~19世紀の夜警国家,自由国家と異なり,多かれ少なかれ社会国家の理念に立ち,社会権を保障し,私有財産権を制限するなどの政策をとっている。 (→福祉国家 )

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世界大百科事典(旧版)内の社会国家の言及

【ワイマール憲法】より

…そして,この制度のもとに議会政治の強力な展開が期待されたのであるが,憲法の実際の運用においては大統領の解散権,宰相および国務大臣の任免権が議会に優越する力を示し,また本来国内の治安の維持回復のみを目的として認められ,めったに適用されない〈伝家の宝刀〉とみなされていた大統領の緊急命令権(48条2項)が濫発され,その結果,議院内閣制とは対照的な大統領内閣ないしは大統領の独裁制に道を開くことになった。 第3の特質は,その権利の保障にあらわれた社会国家的傾向である。そこでは,第2編として,〈ドイツ人の基本権および基本義務〉という題名のもとに,個人(109~118条),共同生活(119~134条),宗教および宗教団体(135~141条),教育および学校(142~150条)および経済生活(151~165条)の5章にわたって,諸国の憲法に類例をみないほど詳細な規定が設けられている。…

※「社会国家」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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