社会防衛論(読み)しゃかいぼうえいろん

百科事典マイペディア 「社会防衛論」の意味・わかりやすい解説

社会防衛論【しゃかいぼうえいろん】

新派刑法学,特にフェッリに由来する刑法理論刑罰は,自由意思に基づく客観的な犯罪行為に対する応報ではなく,危険な素因を有する犯罪者に対する社会防衛手段にすぎないとする。犯罪の予防と犯罪者の改善的矯正的処遇目的とする刑事政策,刑罰と保安処分の〈社会防衛処分〉への一元化を提唱した。戦後人道主義に立脚する〈新社会防衛論〉へと発展した。
→関連項目応報刑論保安処分

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典(旧版)内の社会防衛論の言及

【刑法理論】より

…そして,(4)犯罪の成立について行為者の反社会的性格・動機などの主観的側面を重視し(主観主義,性格責任論),(5)そのような反社会的性格による社会的危険性をもつ者は,社会が自己を防衛するためにとる一定の措置を甘受しなければならない負担を負うとした(社会的責任論)。そして,(6)刑罰は行為者の反社会的性格を改善・教育するための手段であって(改善刑論,教育刑論),(7)行為者の再犯の予防を目的とするものであり(特別予防論),(8)このようにして社会を犯罪から防衛するのである(社会防衛論)と主張した。 この新派の主張する行為者主義,主観主義,性格責任論は,不明確な主観的要素によって刑法の適用を左右する可能性をもち,個人の自由,人権の保障にとって危険を含むものであった。…

※「社会防衛論」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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