応報刑論(読み)おうほうけいろん

精選版 日本国語大辞典 「応報刑論」の意味・読み・例文・類語

おうほうけい‐ろん【応報刑論】

  1. 〘 名詞 〙 刑法理論一つ刑罰本質は、法秩序を破った犯罪者が当然受けるべきむくいであるとする説。応報主義。⇔教育刑論

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百科事典マイペディア 「応報刑論」の意味・わかりやすい解説

応報刑論【おうほうけいろん】

刑罰の本質を応報,贖罪(しょくざい)にあるとする説。古典派主張目的刑・教育刑論に対する。応報としての刑罰は,犯罪という害悪をなしたことを理由として犯人に科せられる害悪で,犯罪の重さに相応する。古くは刑罰の本質につきその目的を除外する絶対的応報刑論であったが,今日では,刑罰の目的は刑罰を犯人に加えることにより社会一般の犯罪を予防することにあるとする一般予防説と結合した相対的な応報刑論が多い。→教育刑論社会防衛論
→関連項目ビンディング

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「応報刑論」の意味・わかりやすい解説

応報刑論
おうほうけいろん
Vergeltungstheorie

刑罰の本質を犯罪に対する応報とする説。特に 19世紀末から 20世紀の初めにドイツにおいて展開された刑法学派の争いのなかで,新派目的刑論に対して旧派により主張された。カントヘーゲルの所説にみられる古典的な応報刑論では刑罰は応報以外に他の根拠をもたないとされたため,絶対主義とも呼ばれた。しかしその後の応報刑論の主流は,必ずしも一般予防,特別予防という目的を排除せず,いわゆる相対的応報刑論の立場をとっている。

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世界大百科事典(旧版)内の応報刑論の言及

【刑罰】より


[刑罰本質論]
 犯罪に対して刑罰を加えることはどのような意味があるのか,という刑罰本質論については,いままで多くの論議が展開され,現在でも一致した答えがあるわけではない。大別すれば,応報刑論と目的刑論がある。応報刑論と教育刑論が対立するとよくいわれるが,教育刑論は目的刑論の一種である。…

【刑法理論】より

…その一は,〈罪が犯されたから〉というものであり,その二は,〈罪が犯されないようにするために〉というものであった。前者は応報刑論の原型であり,後者は目的刑論の原型である。この論争は,とくに啓蒙時代以来,近代刑法学の形成・展開過程で多くの論議を経て現在まで続けられている。…

※「応報刑論」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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