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保安処分 ほあんしょぶん

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

保安処分
ほあんしょぶん

再犯の危険に対処する目的で刑罰に代え,または刑罰を補充するための,自由剥奪を含む治療,矯正,労作,予防などの処分の総称。犯罪行為につき責任非難をなしえない精神障害者 (特に精神病質者) や薬物中毒者に対する効果が期待されているが,他方では,社会治安の目的に追随し,被処分者の人権を侵害するおそれがある。

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出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉の解説

ほあん‐しょぶん【保安処分】

犯罪者の社会的危険性を除去するため、刑罰に代え、またこれを補充するためになされる保護・矯正・治療・教育などの処分。

出典|小学館
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百科事典マイペディアの解説

保安処分【ほあんしょぶん】

社会的危険行為を行うおそれのある者を社会から隔離し,その危険性を矯正(きょうせい)・治療するための処分。現行法上,少年法保護処分売春防止法補導処分などが保安処分的な制度である。
→関連項目刑法保護観察予防拘禁

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世界大百科事典 第2版の解説

ほあんしょぶん【保安処分】

社会に危険な行為をするおそれのある者に対して,社会の保安と本人の治療・改善を図るために加えられる処分。刑罰に代わり,または刑罰を補充するものとして行われる処分である。 刑罰は,犯罪予防の目的をもっているが,通常,過去の犯罪行為に対して,その行為が非難可能なときに,非難可能な範囲で科せられる。したがって,たとえば,重度の精神分裂病などの精神障害のため刑法の条文にあたる違法な行為を行った者は,その行為を法的に非難することはできないから,責任無能力者として,これに刑罰を加えることは許されない。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
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大辞林 第三版の解説

ほあんしょぶん【保安処分】

犯罪者や罪を犯す危険性のある者に対して、犯罪防止のために科す刑罰以外の保護・教育・矯正・治療などの強制処分。

出典|三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

保安処分
ほあんしょぶん

犯罪を防ぎ止めるために用いられる刑罰以外の刑事処分刑事裁判で言い渡される点で行政処分とは異なる。刑罰が責任を前提にして、犯罪に対する規範的応報・非難を苦痛の賦課によって現実化する手段であるのに対し、広義の犯罪(刑罰法規に触れる違法な行為)があることは要件とするが、もっぱら人または物の犯罪的危険性に着目してその解消または発現の抑止を図る手段である。理論的には、対人的処分(狭義の保安処分)と対物的処分(例、没収・営業所閉鎖)の別があり、さらに、対人的処分については、保安を目的とするものと改善を目的とするもの、施設収容によるものとそうでないもの、などに区別できる。典型的な対人的処分としては、たとえば、施設収容処分として、重大な犯罪を反復するおそれのある犯罪者に対する予防処分、精神障害者に対する治療処分アルコールや薬物の中毒者に対する禁絶処分、労働嫌忌者に対する労作処分があり、施設収容を伴わないものとして、運転免許の剥奪(はくだつ)、居住制限、保護観察、去勢などがある。
 19世紀の中ごろ、ヨーロッパ諸国では、社会の急激な工業化、都市化によって、多くの犯罪者、とくに累犯者が生み出され、他方で刑法において罪刑法定主義、責任主義が強調されて、刑罰権の発動に一定の制約が設けられていた。そのため、社会の秩序を十分に維持することができない状態にあり、保安処分の制度化の必要性が説かれた。近代学派の刑法理論は、刑罰を社会防衛手段と考え刑罰と処分の一元化を主張したが、1893年のストースによるスイス刑法草案をはじめとして、20世紀に入っていくつかの国(例、ドイツ、イタリア)で採用された保安処分は、刑罰との二元主義をとるものであった。
 日本では、刑法改正事業の過程でその採用が試みられ、第二次世界大戦前には、治安維持法の予防拘禁のように特別法で制度化された例もある。戦後、改正刑法準備草案(109条以下)、改正刑法草案(97条以下)が、精神障害者に対する治療処分、アルコール・薬物中毒者に対する禁絶処分を規定し、その必要性は認識されているが、対象者の選択のむずかしさと対象者の人権侵害の危険性への不安から、制度化されるまでには至っていない。現在、保安処分に類する機能を営みうるものとしては、精神衛生法(1988年「精神保健法」、1995年「精神保健福祉法」に改称)の措置入院(治療処分)、医療観察法(心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律)の指定医療機関入院・通院(治療処分)、売春防止法の補導処分(労作処分)、成人に対する保護観察、少年に対する保護処分などがある。[須々木主一・小西暁和]

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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世界大百科事典内の保安処分の言及

【刑事政策】より

…なお,刑のうち,量的に見て最も多用されているのが罰金であるが(《検察統計年報》によれば,1982年に有罪が確定した者のうち,罰金に処せられた者がその95.3%を占めている),これについては,犯罪抑止効果に乏しいとする議論があるほか,犯罪者の資力に応じた罰金の付科を考慮すべきではないか(日数罰金の導入),また罰金を完納することができないときの滞納留置(労役場留置)を回避するため,延納,分納,自由労働による償却などの制度を導入すべきではないかも問題となる。 なお,責任主義の原理に立つ以上,刑をもってしては犯罪の防止に十分ではない場合に,それを補充するものとして,保安処分を導入することの是非が問題となってくる。具体的には,触法行為を行った精神障害者ないしアルコール・薬物中毒者に対する取扱いが問題となる。…

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