神学の侍女(読み)しんがくのじじょ(その他表記)ancilla theologiae[ラテン]

改訂新版 世界大百科事典 「神学の侍女」の意味・わかりやすい解説

神学の侍女 (しんがくのじじょ)
ancilla theologiae[ラテン]

哲学神学に従属している状態を指す語。しかしこの言葉が,スコラ学における両者の関係を示すものとして,非難あるいは軽べつの意をこめて用いられるようになったのは近代以後であり,この表現最初に用いたとされるペトルス・ダミアニにおいては,哲学的学問越権を戒めるために用いられている。トマス・アクイナスも,神学は哲学的学問をいわば下位のもの,侍女として用いる,と語っているが,哲学がその固有領域に関して自律的であることを否定してはいない。
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関連語 稲垣

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「神学の侍女」の意味・わかりやすい解説

神学の侍女
しんがくのじじょ
theologiae ancilla

中世スコラ学で,哲学が信仰真理や神学に対して立つべき態度をいう語。哲学の役割をおとしめていったのではなく,むしろ主なる神についての学に仕えるところにその栄光があるとの意。

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世界大百科事典(旧版)内の神学の侍女の言及

【ペトルス・ダミアニ】より

…神学においては当時の人文主義的傾向に反対し,論理学や弁証法が神学のなかに入り込むことをしりぞけて,これらはいわば〈主人の侍女〉にすぎないと述べた(《神の全能について》)。〈神学の侍女〉というスコラ学のモットーはこれに由来する。【泉 治典】。…

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