神淵郷(読み)かぶちごう

日本歴史地名大系 「神淵郷」の解説

神淵郷
かぶちごう

現七宗町神渕を中心にした一帯に比定される。旧武儀むぎ郡内の郷名。摂関家領武儀庄の一部。神淵郷内栗原くりはら村は、浄心尼が重代相伝知行していたが、元応元年(一三一九)に孫女の理春に譲渡している(同年一一月八日「尼浄心所領譲状案」臨川寺重書案文)。康永三年(一三四四)理春はその神淵郷内栗原郷を娘の理仁に譲渡している(同年一二月二日「理春尼譲状案」同文書)。さらに貞和三年(一三四七)になって、理春は先の譲状を改めて浄心および理春自身の菩提を弔うため、理仁一期分の扶持を条件としてこの土地を臨川りんせん三会さんえ(現京都市右京区)寄進した(同年一〇月二五日「尼理春所領寄進状案」同文書)。臨川寺は文和元年(一三五二)一二月一二日の足利義詮御教書案(同文書)により幕府の承認を受けた。この栗原村に対して浄心・理春がもっていた権利は当郷村の伊勢神宮役夫公米以下の諸役の免除を承認した貞治四年(一三六五)二月二二日の官宣旨案(同文書)によって、地頭職であったことが判明する。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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