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扶持 ふち

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

扶持
ふち

封建時代の武士主君から与えられた俸禄。鎌倉~室町時代には土地と百姓を与えるのが原則であったが,戦国時代,米を給与する方法が起り,江戸時代になると,武家離村が進んで城下町に居住するようになり,所領を米に換算する方法が一般化した。特に蔵米取 (→蔵米 ) の者に対して行われた給与方法をさすようになった。1人1日5合の糧を標準 (一人持と呼ぶ) に1年間分を米や金で与える方法が普通で,下級の旗本御家人,諸藩では下級武士に,身分に応じて何人扶持と定めて,広く行われた。また武士だけでなく,特殊な技能者なども何人扶持でかかえるという方法が行われたり,幕府,諸藩に尽力した商人,百姓にも与えられた。

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デジタル大辞泉の解説

ふ‐ち【扶持】

[名](スル)
助けること。扶助すること。
「ねんごろに―して置かれたが」〈芥川・奉教人の死〉
主君から家臣に給与した俸禄。江戸時代には、一人1日玄米5合を標準とし、この1年分を米または金で給与した。
俸禄を支給して臣下とすること。
「若党どもをも―し置き」〈太平記・一六〉

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百科事典マイペディアの解説

扶持【ふち】

助ける意から転じて,武士が米などを給して家来,奉公人を置くこと。またその支給される米(扶持米)のこと。戦国時代以前も家臣に米を給することを扶持とよんでいたが,江戸時代に制度化された。
→関連項目大庄屋家禄地方知行

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世界大百科事典 第2版の解説

ふち【扶持】

助ける,援助するの意から転じて,武士が米などを支給して家来や奉公人を抱え置くこと,またはその支給する米をいう。戦国時代以前にも,家臣に米を給することを扶持と呼んでいたが,江戸時代に入って制度的に整い,武士1人1日の標準生計費用を米5合と算定して,1ヵ月に1斗5升,1年間に1石8斗,俵に直して米5俵を支給することを一人(いちにん)扶持と呼び,扶持米支給の単位とした。これは知行(ちぎよう)高5石の蔵米取(くらまいとり)御家人が1年間に受け取る切米(きりまい)に相当する。

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大辞林 第三版の解説

ふじ【扶持】

( 名 ) スル
そばにいてたすけささえること。ふち。 「官府これを-すること能はず/西国立志編 正直

ふち【扶持】

( 名 ) スル
たすけること。面倒をみること。 「渠等かれらを-すべき責任/義血俠血 鏡花
武家の主君が家臣に与えた給与の一種。江戸時代には一日玄米五合を一日扶持とし、これを標準に何人扶持と称して一年間分の米や金が下級武士に与えられた。
俸禄を与えて家臣として抱えること。 「この信濃入道を-し給けり/徒然 226
扶持米。転じて、食糧、食い扶持などの意。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

扶持
ふち

主人から家来に下付した給与米の一種。1人1日玄米5合を標準に、1か月分(30日で1斗5升)を支給するのを一人扶持といい、身分や役職により何人扶持と数えた。大名が家臣に土地を与える(地方知行(じかたちぎょう))かわりに蔵米(くらまい)を支給することは戦国時代からおこり、近世に入って武士の城下町在住が一般化して兵農分離が進むにしたがい、蔵米知行の一部として普通に行われるようになった。三季に支給される通常の蔵米取より下級の御家人(ごけにん)や藩士、御用達(ごようたし)町人らに給せられ、月俸とよぶこともあった。二十人扶持が1年(350日)分で35石となり、3斗5升入りの蔵米の100俵取の実質収入と同じとみなされた。なお、本来の禄高(ろくだか)に加えて役料(職務給)として扶持若干を給される場合もあった。[北原 進]

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