朝日日本歴史人物事典 「神田厚丸」の解説
神田厚丸
生年:生年不詳
江戸後期の戯作者。没年は『洒落本大成』8巻解題による(同書に享年は59歳)。江戸神田鍋町の紙問屋で伊勢屋吉兵衛と称し,寛政末年(1801年ごろ)から享和(1801~04)にかけて洒落本作者として活躍。また狂歌にも小(黄)金厚丸の名であらわれる。尾崎久弥によれば,同時期に山旭亭真葉行と号した洒落本作者も,その作風や活動状況から推して異名同人かという(『洒落本雑記』)。また画技も能くしたようで洒落本のいくつかに画いた口絵は,魚屋北渓風の筆致で十分素人の域を超えている。その作風は,寛政後期の戯作者らしく山東京伝模倣の跡が著しいが,同種のもののなかでは上々の腕前といえよう。
(中野三敏)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報