神聖病(読み)しんせいびょう(その他表記)morbus sacer[ラテン]

改訂新版 世界大百科事典 「神聖病」の意味・わかりやすい解説

神聖病 (しんせいびょう)
morbus sacer[ラテン]

古代ギリシア・ローマで広く流布していたてんかんの俗称。とつぜん倒れて全身痙攣けいれん)する発作を,当時の呪術的世界観から〈神の意思が働いて生じたもの〉と解釈したのでこの名があり,実際その治療法としては浄(きよ)めや祈禱が幅をきかせていた。これに対してヒッポクラテスが〈この病気はとくに神的でも聖なるものでもなく,自然の原因で起こる〉(《神聖病について》)と批判したのは有名である。
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関連語 宮本

世界大百科事典(旧版)内の神聖病の言及

【癲癇】より

…また,反復性発作ということからは,一生に一度のような単発性ないし機会性痙攣も癲癇とはされない。 なお癲癇(およびそれに似た神経性発作)は,古くは神聖病として知られていた。ヒッポクラテスは,この病気が奇態な病気ではあるが,〈つきもの〉あるいは〈神業〉によって生ずるものではなく,他のいろいろの病気と同じく自然的原因によるものであることを強調して,呪術師たちがこの病気を神聖化して取り扱うのを非難し,この病気が脳に発することを唱えた。…

※「神聖病」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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