福士村(読み)ふくしむら

日本歴史地名大系 「福士村」の解説

福士村
ふくしむら

[現在地名]富沢町福士

北は楮根かぞね村に接し、本村の西山間部に枝郷が散在する。西の徳間とくま峠から発する福士川が村内を東流して富士川に合流する。「甲斐国志」によれば枝郷は真篠まじのたいらみね町屋まちや切久保きりくぼ向島むかいしま矢島やしま宮部みやぶ田島たじま石原いしはら御堂みどう向田むかいだ鯨野くじらのたけさわ根熊ねぐま一小路いちこうじいけノ山・徳間・石合いしあいの一九集落がある。元弘三年(一三三三)一月一三日前後と推定される日興置文(興尊全集)に、「南部郷内フクシノ」とみえ、日興が波木井実長を義絶した理由の一つに、実長が一門勧進と号して当地で行った塔供養に参加したことをあげている。これは正応元年(一二八八)一二月一六日の日興書状(同全集)にみえる「南部郷之内富士の塔供養」と記されるのに相当するとみられるから、当時は南部なんぶ郷に含まれ、富士とも表記されていたと解される。永禄四年(一五六一)一〇月二五日の穴山信君判物(諏訪神社文書)は花押に検討の余地があるが、南部諏訪神社の禰宜善九郎宛に「福士八幡之内神田」を寄進している。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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